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原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■がんばっても不安なあなたへ
私は自分の人間らしさを勲章と思い、祝福します
私のやるべきことはただ一つ、自分に正直であること―――私でいることです
完璧をめざしたり、完璧なふりをしたりする必要はまったくありません
私の一番の財産は、誠実さ、ムリをしないこと、リスクを負おうとする意志です
私は、じっと静かにしていることを楽しめます
失敗するのはあたりまえのことです。人間はそういうふうにできているのですから
私の人間らしさのゆえに、人はたやすく私を愛し、ふれあいの手をさしだすのです
私がやっていることは、今のままで充分です
私の身体は、現在あるそのままで美しいのです
私は内なる声から必要だと告げられたことを、かたく信じます
私は、何をやるかにかかわらず愛されるべき存在です
私は、今日この瞬間のありのままの自分を受け入れます
(「がんばっても不安なあなたへ」原題 Overcoming Perfectionism より)
http://www.iff.co.jp/book/allbook/bk_054.html
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今の日本に、心から↑のように思える人がどれほどいるのだろうか。
そんなふうにはとても思えないからこそ、なんとかして上を目指そう、少しでも「まし」になりたい、と思うのではないか。
上なんか目指さなくても、生きていてやるべきこと、自分に与えられた役割、そういうものは自然とやるようになるだろうに。
わたしも、自分の体がどうしても許せなくて、女に「戻る」……といっても現実には「女みたいな外見に近いかたちになるような手術を受ける」ということだけど……ことにした。
それ自体は間違っていなかったと思う。だって、今のほうが以前よりも楽だもん。
(ツッコミ:そーだよな、おまえは家族に対する責任を果たすこともしないで、自分1人分の生活費も稼がないで、ぷらぷらしてるだけだもんなー!!) い、いや、そーいうことじゃなくって。
もしも↑のアファメーションを前から知っていたら、わたしは手術を受けずに自分の体を再び受け入れることができただろうか?
……できたかもしれない。
でも、それには現在ある以上のリスクを要したかもしれない。
っていうか、男のままで生きていたら、自殺とか犯罪とか、そういう決定的な過ちを犯していたのではないだろうか。(それらを「過ち」と定義づけるならば、の話だけど)
わたしは、それだけは嫌だった。
いろんなかたちで今でも人に迷惑かけて生きているけれど、いつまでも嘘ついて「男です」って言って生きていたら、取り返しのつかないことをしてしまったのではないか。
実際、女に戻ることを決意する直前には、かなり異常な状態になっていた、と今は思い起こされる。
男として生きる自信も希望も可能性も能力も、何もなかった。「ない」と思い込んでいた。
あ、違う。
むしろ男として生きることに、まるっきり「うんざりしていた」のだ。
「男をやってるとこんなにひどい目にあうのか」と。
「殺したり殺されたりするところに引っ張り出されるのか」と。(反戦だけのことを言っているのではないよ)
自分が滅びるだけなら、まだいい。人に危害を加えるのは、絶対に嫌だ。
それなのに、「男の自分」は、現実に人に危害を加えているじゃないか。
嘘がわたしを追い詰める。そのせいだ。
自分のいちばん奥底にあるアイデンティティについて嘘をついてしまったら、それ以上の何をやっても自分でいられる余裕などあるわけがない。
余裕がないから、ほんのちょっと傷つけられた程度で、その何倍もの傷を相手に返してしまうんだ。
もう、そんなの嫌だ!!!!
……
ということの果てに、わたしは自分に嘘をつくのを止めたのだった。
うーん、まあ、「正しい」とか「間違っている」とか言い出すと、この世の誰も自己肯定なんてできなくなってしまうと思うので、とりあえずわたしは今のわたしを受け入れたい。
戻れて、よかった。本当に、よかった。
わたしは女として生きることに慣れてはいない。
無理してだろうと嘘ついてだろうと、現実にわたしは40年近く「男」として生きてしまったんだから。
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01月03日(土)
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