ID:51752
原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■花粉症(?)でダウン はっぴぃウェディング 多様な「性分化」について
で、私が対話したその人は、
「自分がXYという遺伝子を持っていて、子宮もなく、子どもが産めないということはわかっている。
けれど、それをいちいち人に打ち明けようとは思わない」
と言うのでした。
それはもっともです。そんなこと、言いさえしなければ、「ふつうの女性」でしかないんですから。
(ただし、このことにもいくらか「幅」があって、全く男性ホルモンに反応しない体の人は
昔の言い方だと「最も女らしい体つき」をしているそうです……差別的な雰囲気のある言い方だけど。
でも、ある程度男性ホルモンに反応してしまうタイプの人もいて、
そういう人はいくらか男性的な雰囲気になってしまうそうです。
ただ、それを厳密にチェックして、いったいどうしようと言うのでしょう?
「おまえ、女に見えないぞ。オカマか?」などと追求するのでしょうか。
うう、凍えそう(-_-;)

生まれてから、何らかの家庭環境とかその他の条件で、自分が女の子であることを
幼い頃から全く疑わずに育つことができたMtFTSは、
たとえたまたま出生時の「体のかたち(=外性器のこと)」が
男性型であったとしても、「AIS」の人と何ら変わりはしないと思います。
なのに、なんで「出生時のかたち」にばっかり拘るのでしょう。
性染色体のことを言うのなら、AISもMtFTSも、どちらもXYで変わりません。

なのに、なぜ、「出生時男子として振り分けられた」からといって、
いつまでもそれに拘るのでしょうか。

2.
また、私にはクラインフェルター症候群の知人がいます。
性自認は女性です。
でも、「IS(半陰陽)」だったら「性自認に合わせて性別を選べる」、という
医学の教科書か何かの記述を当てはめようと思ったら、
実は「クラインフェルター」=「KS」と略すけど=というのは
「『男性の』性分化異常」なんですね?
しかも、ガイドラインには「他の身体的性分化異常のあるものはGIDには含めない」と
書かれていたために、事実上「KSで性自認に障害のある人」というのは、
GID医療からも、IS医療からも、抜け落ちてしまっていたのです。
いわば、「お見合いミス」みたいなものですよね。

私なんかは、素人考えで「XX+Y」ならば「XX=女性」の遺伝子も持ち合わせているのだから、
単純な「XY」のGIDよりもはるかに有利だろう、などと考えていたけれど、
現実はもっと酷く、かつお粗末だったのでした。
(ただ、もう一つの「現実」として、KSの人たちは、
確かにXYだけの人と比べて、いくらか男性的な雰囲気が薄くなる人が
多いようです。

性自認が「女性」ならば、こんなに有利なことはない、と正直なところ思います。
けれども、今度は反対に性自認が「男性」であるKS当事者にとっては、
こんなに「不利」なことはないんですよね。

やっぱり、そんなことを「鵜の目鷹の目」でチェックして、
やれ「男っぽくない」だの「女らしい」だのに拘っても、
当事者たちにとっては全くの「余計なお世話」です……)

追記:
実は、KSでGID医療のコースに乗った人を知っています。
もしかしたら、日本のガイドラインの改訂の内容に、
このことが追加されているのかもしれません。
これはとても現実に見合った、納得できる措置だと思います。

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こうやって「余計な情報」を掲載するのは、静かに「ふつうの女性/男性」として暮らしたい
当事者にとって、有害とはなっても決して利益にはならないのかもしれません。

でも、「情報」というのは、いずれにせよいろんなところを駆け巡るものです。
だとしたら、それをできるだけ上手に捕まえて、良質なものにしてまた飛び立たせてやるのが、
せめてもの良心なのではないでしょうか。

どうか、ちょっとぐらい「女らしくない」女がいても、やれ「本当は男なのでは」とか
詮索しないでください。


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03月11日(月)
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