ID:51752
原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
[140367hit]

■田中宇の国際ニュース解説(1)
 今回、16年ぶりに米国が空母を黄海に入れようとした理由は、天安艦事件である。もし米韓の主張どおり、北朝鮮の潜水艦が発射した魚雷が天安艦を撃沈したのであれば、米韓が報復威嚇的な軍事演習を沈没現場周辺の黄海で実施することは自然である。それに激怒する中国は過剰に北朝鮮をかばっていることになる。中国の猛反対に対し、米国が譲歩して空母を黄海に入れなかったのは、中国に米国債を買い続けてもらわないと財政破綻するという米国の弱みがあるためということになる。しかし実際には、これらの「定説」の根幹に存在する「天安艦が北朝鮮に撃沈された」という可能性は、どんどん低くなっている。

 天安艦は、米軍との合同演習中に間違って同士討ちになって沈没したか、もしくはロシア政府やハンギョレ新聞が主張するように、70年代に韓国軍がペンニョン島周辺に無数に敷設した古い機雷に触れて(天安艦のスクリューが、島の沿岸に多く仕掛けられている定置網の漁網に巻きつき、漁網が機雷を巻き込んで爆発して)沈没した可能性の方が、北朝鮮犯人説より、はるかに高い。

http://joongangdaily.joins.com/article/view.asp?aid=2923819
Russia says sea mine sunk Cheonan: report

http://www.jrcl.net/frame10053h.html
西海の緊張に伴い機雷136個設置、10年後、10%も回収できず

 私が聞いたところでは、日本の防衛省の機雷の専門家も、証拠品の魚雷の残骸をめぐる韓国政府の説明は不合理だと言っている。韓国の潜水の専門家は、海中に沈んだ魚雷の残骸は、1カ月という短期間では韓国政府が発表した「証拠品」のように錆び付いた状態にならないことを、仁川の海岸で実際に金属片を海中に沈めた実験によって立証した。韓国政府が発表時に拡大して示した魚雷の設計図は、韓国政府が主張する「CHT-02D」の設計図ではなく、北朝鮮製の別の魚雷の設計図であることもわかった。韓国政府は、5月末の地方選挙を有利にするため、米国にそそのかされ、北犯人説をでっち上げて発表した可能性が高まっている。

http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1213081.html
海難救助専門家 "天安艦 魚雷推進体は捏造された証拠"

http://english.yonhapnews.co.kr/national/2010/06/29/49/0301000000AEN20100629007300315F.HTML
Investigators admit using wrong blueprint to show N. Korean torpedo that attacked Cheonan

(日本のマスコミは、韓国政府の発表に疑いを抱かせる報道を、おそらく意図的に避けている。たとえば7月9日、米国のジョンズホプキンス大学の助教授らが、根拠をあげつつ韓国政府の発表に疑問を呈する記者会見に行ったが、日本のマスコミはほとんど無視した。外務省など日本政府は、天安艦事件後に米韓が北朝鮮と対峙する姿勢を強めたことを、東アジアにおける米国の覇権巻き返しととらえ、日本が対米従属策を延命できる好機だと喜んで、マスコミを動員し、日本人に天安艦事件の「北犯人説」以外の情報を伝えないようにしているのだろう。911事件に対する報道官制と同じ趣旨である)

http://www1.voanews.com/english/news/asia/US-Professors-Raise-Doubts-About-Report-on-South-Korean-Ship-Sinking--98098809.html
US Professors Raise Doubts About Report on South Korean Ship Sinking

http://blogs.yahoo.co.jp/lifeartinstitute/41671700.html
天安艦事件検証(37)「魚雷説は実験結果に反する」

 天安艦沈没の北犯人説が米韓の濡れ衣だとすると、天安艦事件を口実に黄海で米韓が軍事演習をすることは、米国が意図的に中国や北朝鮮を過剰に威嚇していることを意味する。韓国は、北朝鮮との対立をいたずらに煽っていることになる。中国が、黄海に米空母が入ることに猛反対したのは当然だということになる。

▼黄海は第1列島線の中国側

 米国の右派メディア(共和党系のWSJ)は「今回、オバマ政権が中国の反対を受けて譲歩し、空母を黄海に入れなかったことは、悪しき前例を作ってしまった。今後、中国が了承しない限り、米国は空母を黄海に入れないだろう。黄海は、中国の海になってしまった」と米政府を非難している。


[5]続きを読む

08月17日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る