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原案帳#20(since 1973-)
by 会津里花
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■疑われつつある「科学的客観主義」を批判的に踏まえて
第2次性徴において「男性化」することがさまざまな程度で妨げられる。

結果的に、成人した時には特徴的な外見となることがよくある。
ただし、「特徴的」といっても個人差が大きく、「こういう特徴」と一概には言えない。

たとえば、第2次性徴が発現することによって、
それまで大量に分泌していた「成長ホルモン」の分泌が抑制されるのが正常パターンだが、
それが充分に起きないために「(きゃしゃな)高身長」になる人もいる。
(なぜか医学の教科書にはこういうケースだけを取り上げていることが多いらしい)
もちろん、そうならない人もいる。

また、(実はまだ詳しく勉強できていないけれど、たぶん)人間の体は
「男にならないのなら女」
という方向で成長するものらしく、
男性的な第2次性徴が起きない代わりに、さまざまな程度に「女性化」することもある。
極端なケースでは、ぱっと見の外見が女性にしか見えない人もいるし、
(ご本人にとっては迷惑極まりないことだけれど)まじまじと観察しても
「男か女かわからない」外見の人もいる。
上に挙げた「高身長で華奢」とはならない人もいる。
(ただ、どうやら人の他人に対する認識は「男か女か」を識別せずにはいられないものらしく、
本当は男女どちらかわからない外見なのに、たとえば本人が男女のどちらとしているか、とか
「どっちかといえば」という程度の特徴で、
とりあえずその人を「男」または「女」と決めてしまう人=本人以外、が多いと思う)

先に書くべきだったかもしれないけれど、
上に挙げたような極端な特徴が全く(またはほとんど)出ない人もいる。
っていうか、そういう人がいちばん多い? (未確認)
私はたまたま外見的な特徴がはっきり出て、
そのせいで生き難さを感じている人たちと最初に出会ってしまったからか
「男性にも女性にも見えない」ということに強い関心を持ってしまったけれど、
それはそういう特徴の現れない当事者に対しては、むしろとても失礼なのかもしれない。
……っていうか、うーん、当事者じゃない立場でこういうことを書くのは難しいですね……

はっきりした特徴の出ない人の場合、「不妊」によってKSが発覚することが多いようだ。
ということは、それまでは自分の性別(男性)については
特にはっきりした違和感を感じていないことが多く、
だからふつうに結婚したし、子どももほしいと願っているのに、
その願いは決してかなうことがない……ということになり、
そのことが大きな悩みとなる人もいる。
(もしかしたら、そういう当事者が最も多いのかもしれないけれど、未確認;
それこそプライバシーの領域の問題だし、
上述の特徴のはっきりしたケースと「合算」しないと正確なことはわからないはずだけど、
そういうことをした人はいない、もしくは私が見つけていないので
今は何とも言えない)

「男性化の阻害」に個人差が大きいということを、とりあえず三つに分けて説明してみたけれど、
いちばん大切なことは、一人一人の当事者が自分の「性」についてどう思っているかを
必要に応じてちゃんと聞いて、それを理解するように努めることだと思う。
私の上のような説明をパターン化して覚え、
現実に目の前にいる当事者が「どのパターンに属するか」なんてことをしようとするのは
はっきり言って、その当事者本人に対してとても失礼なことだと思う。

ある意味、私のこの説明そのものすら、そういう「失礼なこと」に当たるかもしれない。

なので、この記事を読んだ人……KS当事者にせよ、その周囲の人にせよ、全く関係ない人にせよ……は、
どうか個々の当事者の「性についての自己表現」にしっかり耳を傾けてほしいと思う。

ただ、デリケートな問題だから非当事者が首を突っ込むべきではない、として
腫れ物に触る、あるいは「見て見ぬ振りをする」のはどうかな、とも思う。
なぜなら、KS当事者だって常に非当事者に囲まれて生きているわけだし、

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02月02日(日)
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