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doo-bop days
by ブーツィラ
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■『ニューオーリンズ伝説』
ニューオーリンズR&Bのピアニストの3人、プロフェッサー・ロングヘア、アラン・トゥーサン、トゥッツ・ワシントン。
ビデオ作家スティーヴンソン・パルフィの企画により、彼ら3人のピアニストがライヴで共演することになっていた日の2日前の1980年1月30日、ドキュメンタリー・ビデオ『ニューオーリンズ伝説』の実質的主役であるプロフェッサー・ロングヘアが急逝してしまう。この日は、プロフェッサー・ロングヘアの新作アルバム『Crawfish Fiesta』の発売日でもあった。
フェス(プロフェッサー・ロングヘアの愛称)の葬儀は、フェスの妻アリスの意向で撮影され、『ニューオーリンズ伝説』(スティーヴンソン・パルフィ監督作品)の終盤に収録された。
フェスの葬儀における、牧師によるあまりにも生々しいゴスペル。フェスに捧げる詩を頬に涙を伝わらせながらオルガン弾き語りで歌うアラン・トゥーサン。サックスのアール・タービントンとピアノのウィリー・ティによる重く悲痛な演奏。フェスの埋葬へと向かう行進時のブラスバンドによる厳粛な演奏と、それとは対照的な帰りの行進におけるご機嫌なセカンドラインなど、『ニューオーリンズ伝説』の終盤は、カルチャーショックを受けるようなリアルな映像の連続だ。
ビデオの前半から中盤には、プロフェッサー・ロングヘア、アラン・トゥーサン、トゥッツ・ワシントンの3人が、3台のピアノを真横に並べて共演したスタジオ・リハーサル・シーン(1980年1月16日)が収められている。見所は三者三様のピアノ演奏、3人のそれぞれ異なる性格が垣間見えるシーン、フェスが影響を受けた先輩であるトゥッツに対して一切遠慮せずにズバズバ指図する場面などだろう。
『ニューオーリンズ伝説』は、皮肉にもビデオ作家スティーヴンソン・パルフィの当初の構想とは違った作品となったようだが、ニューオーリンズR&Bを知るうえで定番のドキュメンタリー作品と言えそうだ。
私が『ニューオーリンズ伝説』(VHSビデオ, P-ヴァイン, 76分, 原題『Piano Players - Featuring New Orleans Piano Legends: Professor Longhair ・ Allen Toussaint ・ Tuts Washington』, 1982年初公開)を買ったのは、10何年か前だったと思う。税抜き9,200円(!)かつ日本語字幕なしという信じ難い商品であったが(ピーター・バラカンによる解説、会話/語りのシーンの対訳&要約の記された紙が付いてはいる)、値段は今でも変わっていない模様(→こちら。ビデオの入手は可能かどうか不明)。
なお、『ニューオーリンズ伝説』は、日本盤・海外盤ともに現時点ではDVD化されていない。
プロフェッサー・ロングヘア、アラン・トゥーサン、トゥッツ・ワシントンの3人によるピアノ共演スタジオ・リハーサル音源は、フェスの2CDアンソロジー『'Fess The Professor Longhair Anthology』(1993年, Rhino)のディスク2の最後にも収録。
『ニューオーリンズ伝説』に挿入されているザ・ミーターズのメンバーを従えたフェスのピアノ弾き語りパフォーマンスは、1974年10月30日にシカゴで収録されたテレビ番組からのもので、完全版はビデオ『Dr.John Sound Stage New Orleans Swamp』(1993年, 60分, Rhino)で見られる。
・Professor Longhairのオフィシャル・サイト
05月21日(土)
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