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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■優勝パレードと無償労働



 11月23日、大阪と神戸では阪神タイガースとオリックスバファローズの優勝パレードが行われた。大阪ではパレードの行われる御堂筋に多くの人が詰めかけたわけだが、このパレードの警備として、大阪市職員が無償ボランティアとして大量に動員されたのである。その際にボランティアのスタッフに提供されたジャンパーが、パレード終了直後から大量にメルカリに出品されていた。せめてこれでも売って元を取りたいということなんだろう。

 大阪市の職員は橋下徹から目の仇にされた。「中之島一家」と呼ばれ、すべての税金の無駄遣いの原因はそこにあるかのように宣伝され、「既得権益者」として選挙の時にスケープゴートにされたのである。こうして「社会の中に敵を作って分断し、自分たちに投票させる」というのは、かつてヒトラー率いるナチスがユダヤ人を標的にしたことと同じである。その手法にまんまと騙された大阪府民、大阪市民は橋下徹や松井一郎に投票し、「既得権益者」として攻撃の対象となった公務員の給料を減らすことは正当化された。かくして年収にして200万を超えるレベルの大幅減給が行われたのである。住宅ローンが払えなくなった人の中には破産したり自殺して返済した人もいたという。はっきりしたリソースではないのでなんとも言えないが、橋下知事就任後2年間の大阪府庁での自殺者は28人という数を聞いたことがある。彼らはなぜ死ななければならなかったのか。過重な勤務によるストレスか。あるいは上司のパワハラによる鬱状態だったのか、個々の事情は明らかではない。

 大阪府や大阪市の職員を「仕事が楽なのに高給の既得権益者」として叩きつつ、「無給で動員できる奴隷」として扱い、従わない者には罰を与える一方で忠実なポチとなって従う人間は出世させ、そのポチの中には斎藤元彦のように兵庫県知事にしてもらえる者もいたのである。

 優勝パレードの警備ボランティアは無償労働だが、大阪府知事、大阪市長は公務である。自分たちは公務として働きながら、部下には無償労働を命じるというのはパワハラ以外の何ものでもない。そして大阪府民の多くは維新の会に洗脳された状態なので「公務員はいくらでもいじめていい」と思っている。だから保護者はモンスターペアレント化して学校に理不尽な要求をぶつけるのである。すべて維新の連中が巧妙に洗脳したせいである。彼らが主張する「身を切る改革」というのは「住民がどんどん身を切られる」改革であり、「公務員が給料を減らされる」改革である。

 その公務員を削減するもっとも効率的な方法として橋下徹が思いついたのが、「公立高校無限削減」である。学区制度をとっぱらうことによって受験生を偏在させ、結果として競争率が1倍を切った高校をじゃんじゃんつぶしていくという政策である。公立高校を減らせばその分教員も減らせるし、土地はお仲間の不動産業者に転売できる。郊外にある府立高校のよりも、大阪市内の高校の方が高値で転売できることに目を付けた維新の連中は、大阪市立の高校22校をタダで大阪府に譲渡させるということを大阪市議会の公明党を抱き込んで成立させたのである。その中には早くも売却された校地が商業施設やタワマンにされてしまったところもあるのだ。維新利権につながった不動産屋はウハウハである。大阪の不動産屋が基本的に維新支持なのは、金儲けをさせてくれるからである。

 今は「万博」という巨大な利権のために維新の連中は躍起となっている。夢洲という軟弱地盤の埋め立て地に巨大なゼニを突っ込むことがすなわち利権なのだ。地盤沈下を続ける土地で埋め立て工事をするということは、工事業者はほぼ無限にそこからゼニを巻き上げることができるのだ。沖縄の辺野古基地の埋め立て工事で、「沖縄セメント」という企業がぼろ儲けしていて、そこから政治献金が自民党政治家に流れているのと同じ構図である。夢洲埋め立てに関係している業者をたどれば、維新政治家に行き着くだろう。

 政治とは国民を豊かで幸せにするためのものである。しかし、自民・維新・公明・国民という悪政4党の政治家にとっては「自分の金儲け」のためにある。多くの国民はそのことに気付かずにその悪政4党に投票し続けるのだ。


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11月23日(木)
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