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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■維新の「大阪滅亡計画」



 景気を良くするにはどうしたらいいのか。即効性があるのはみんなにゼニを配りまくることである。かつてアメリカでは「ヘリコプターマネー」という言葉が話題になったが、これはヘリで空からゼニをばらまくというイメージである。日本でもみんなにゼニを配りまくればコロナ不況を簡単に抜け出せたのだが、残念ながら一人10万円とアベノマスクという屁の突っ張りにもならないのが政府の施策だった。

 先に景気を良くしておかないと、税収も増えないし人々の暮らしもよくならないし出生率も上昇しない。ところが日本政府にはボンクラしかいないし大阪も同様だ。だから政府の愚策と大阪の惨状は共通するのである。

 政府のボンクラどもは年金を減らしたり消費税を上げたり、防衛費を増やすために新たな増税策を考えたり、電気自動車に課税するための走行税を考えたりと、景気を悪くするための方策を山ほど繰り出してくる。これまで消費税納税の義務がなかった小規模事業者からも消費税をぼったくるためのインボイス制度を始めるとか。売り上げ高にして1000万円以下なんて規模のところから消費税なんかいちいち取るなよとオレは思うのである。下町の場末でおばあちゃんが細々と営むたこ焼き屋とかなんかがあってもほっといてやれよと思うのである。そういうところからもゼニを巻き上げたいなんて、やってることはヤクザと同じである。「インボイス制度導入」というのは、そんな情けないことなのである。

 かつて南海高野線の堺東駅前は西日本有数の歓楽街だった。それを支えていたのはそこにある堺市役所である。堺市はラスパイレス指数150という日本で一番給料のいい地方自治体だったのだ。それは臨海工業地帯を抱えて税収が豊かだったからである。ところが「給料が高すぎる」という批判を浴びて、「給料を下げる」ことを公約した市長が当選し、どんどん給料は減らされてしまった。結果としてどういうことが起きたか。余裕のなくなった公務員たちがお小遣いを減らしたせいで、堺東の歓楽街は壊滅したのである。今の堺東は昔の賑わいなどどこにもない。シャッターを閉じた店が多く、駅前のダイエーもとっくに閉店してしまったのである。

 大阪では府知事選挙に出た橋下徹が、公務員のことを「既得権益者」とレッテルを貼って攻撃した。「あいつらだけ恵まれてるのは許せない」と大阪のDQNたちはその政策を熱烈に支持し、橋下は府知事に当選した。大阪府庁に乗り込んだ橋下は「きみたちは倒産しそうになっている会社の従業員だ」などという演説をして給料を下げまくったそうである。自分に逆らう者は左遷し、イエスマンだけを出世させた。

 地方自治体が財政を建て直す時に「公務員の給料を減らす」というのは実に簡単である。維新の会の連中には行政能力が全くないし、予算計画全体を点検してどこに問題があるかを理解することなど無理だ。だから「身を切る改革」などと称して「自分が給料を減らすからおまえらも減らせ」ということを押しつけてくるのである。実に馬鹿馬鹿しいやり方である。公務員たちの士気も下がるし、彼らがお金を使えなくなることで景気は大幅に悪化するのである。維新の会の連中が「身を切る改革」と称して進めていることは、日本経済にとってはマイナスでしかない。まあ維新の連中も自民党の連中も同じ程度に無能なのだが。

 給料を上げないと何も変わらない。だから政府は「まず公務員の給料を上げる」ということから始めないといけないのである。民間の景気が悪いから公務員の給料を下げるなどという馬鹿なことをしても悪循環しか起きない。岸田総理は民間企業に「給料を上げろ!」と要請する前に国家公務員の給料を大幅に上げればいいのである。

 中国には「隗より始めよ」という故事がある。中国の戦国時代、戦国七雄の中で最弱だった燕という小国の王だった昭王が、家臣の郭隗 (かくかい)に「どうすれば国に賢者を集めることができるか」と問うた時、郭隗は「賢者を招きたければ、まず凡庸な私を重く用いてください。そうすればおのずとすぐれた人物が集まってくるでしょう」と答えたという。それで昭王は郭隗に立派な邸宅を用意して厚遇した。結果として遠くから多くの人材が燕に仕官を求めてやってきたということである。

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11月23日(水)
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