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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■大人を手玉に取った15歳
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 15歳の少年がでっち上げた壮大な与太話にひっかかった60歳の方がいた。さて、この場合どのような事件であると考えればいいのだろうか。小遣い欲しさに大人にウソをついた少年と、そのウソにだまされて気前よくゼニを出してやった親切な被害者・・・という単純な構図ではなく、どうも報道されない真実がこの背後にあるような気がするのである。

「プロサッカーの契約金入る」中3男子が50万円詐欺
 「プロサッカーチームから契約金が入る」などのうそを信じ込ませて現金をだまし取ったとして、栃木県警小山署は19日、同県下野市、中学3年の男子生徒(15)を詐欺容疑で逮捕した。
 発表によると、男子生徒は6月24日、小山市のゲームセンター駐車場で、下野市、無職男性(60)から現金50万円をだまし取った疑い。
 男子生徒は、「僕はサッカーの選手で、プロチームに入る。契約金は6000万円くらいになる。父は米国で会社を経営している。今、50万円貸してくれれば、父が1000万円のお礼をする」とでたらめな話をしていた。
 調べに対し、男子生徒は「金はゲームに使った」と供述している。
 男子生徒はサッカー選手ではなく、父親も米国で会社経営はしていない。男性とは昨年秋、ゲームセンターで顔を合わせるようになった。金を渡した後に男子生徒と連絡が取れなくなったため、男性が被害届を出していた。男性は「ほかに数回、現金を渡した」と話しているという。(2008年12月20日11時18分 読売新聞)

 プロサッカーチームに入るような素質のある少年が、場末のゲームセンターをうろうろしているはずがない。その時点で「おかしい」と気づくべきなんだろうが、よほどそのウソは巧妙だったのかも知れない。契約金が6000万円という数字に具体性があり、さらに「父もお金持ち」という部分がダメ押しになったんだろうか。しかしその前に、15歳の中学3年生が50万円ものゼニを必要とする時点で「なんかおかしい」と思うべきである。そんなこともわからないのだろうか。

 子どもが大人からゼニを巻き上げる方法でオレがまず想像するのは、女子高生や女子中生がやりそうな美女局である。援助交際の相手方を募集し、やってきたところで男友達を使って脅迫させ、相手の個人情報を入手して「会社にばらす」とか言う形で脅すパターンである。痴漢被害をでっちあげて無実の男性から示談金を脅し取ろうとするのもこのパターンの変形である。しかし、今回の事件の場合は少年が犯人であり、そういう恐喝事件とはかなり違うのである。オレはこの少年が具体的にどのようなウソをついて相手をだましていったのか、そこに興味がわくのだ。

 ゼニさえもらえば後は用はない。一刻も早く逃げるだけである。かくして少年は行方をくらまし、ゼニをだまし取られるという被害を受けた男性は警察に届けた。そのゼニはいったい誰が賠償するのだろうか。実際は社長さんでもなんでもない少年の親が賠償するのだろうか。まともな親ならいいが、そういうクソガキの親は基本的に救いようのない困ったちゃんということも多い。いったいどうなるのだろうかと、オレは他人事ながら心配するのである。それにしても、たった50万で1000万円の謝礼というのは話が美味しすぎるよ。

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12月22日(月)
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