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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■胴上げはきわめて危険な行為です
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胴上げといえばプロ野球で優勝が決まったときに監督がされるヤツである。プロ野球選手だからあんなふうにうまく胴上げできるわけで、そもそも大の男を空中に放り上げるのはなかなか大変なのだ。素人が胴上げをすると実際はかなり危険である。
かく言うオレも何度か胴上げはされたことがある。以前に勤務していた公立高校の卒業式の時に、式典の最中に担任していたクラスの男子生徒たちが集まってオレを胴上げしてくれるというハプニングがあった。式場が盛り上がった理由は、体重の軽いオレが宙天高く舞い上がったからである。はるか上空に放り上げられながら、オレはかなりの恐怖を味わったのである。こんな高いところから落ちたら死ぬなあと思いつつ。
しかし、胴上げで本当に死者が出ていたことにオレは驚いたのである。読売新聞の記事を引用したい。
定年送別会の胴上げ落下で死亡、遺族が部下3人を告訴
2007年11月、勤めていた運送会社(滋賀県栗東市)の定年退職に伴う送別会で部下から胴上げされた際、落下して大けがを負い、約10か月後に死亡した同県草津市の男性(当時60歳)の遺族が、胴上げした男性社員3人を重過失致死容疑で県警草津署に告訴していたことがわかった。
3人は任意の事情聴取に対し、事実関係を認めているといい、同署は立件する方針。
亡くなったのは作本誠二さん。告訴状によると、部下の社員3人(20歳代〜40歳代)は昨年11月18日午後8時頃、草津市内の旅館の宴会場で、作本さんを空中に投げ上げた後、受け止めずに畳の床に落とし、首や背中の骨を損傷させたほか、呼吸不全や寝たきりになるなどの障害を負わせた上、今年9月に敗血症で死亡させた、としている。
送別会は約40人が参加。胴上げには3人以上が加わっていたが、詳細が不明なため、確定している社員3人を告訴した。社員らは当時、深酔い状態だったが、遺族側は、胴上げは危険な行為であり、事故は十分予見できた、などと主張している。妻の裕美子さん(59)は「優しく、家族思いだった夫がなぜ死んだのか、真相が知りたい」と話している。
(2008年12月15日14時46分 読売新聞)
定年退職に伴う送別会の式場で行われた胴上げで、畳の上で行われたということだからたとえ落下してもさほど危険はないと胴上げした方の社員たちは思っていたのだろうか。しかし、実際は首や背中の骨を損傷して寝たきりになる障害を負わせるような恐ろしい胴上げリンチだったのだ。若者ではなくて定年退職を迎えるという高齢の方だったということも、そのケガの理由かも知れない。とっさの落下に受け身を取ることもできなかったということだろうか。
胴上げをするにはかなりの人数が必要であり、たった3人ではできない。今回の裁判で胴上げに加わったメンバーが3名しか特定できていないことも気になる。加わったが、名前が出ていないということで逃げおおせた者もいるわけだ。もっとも若者であっても危険な場合は危険である。
胴上げに似た行為で「イノコ」と呼ばれるものがある。これはサイクリング部の世界だけに存在する奇習であり、その中でも主として「西日本大学サイクリング部連盟(西サ連」」加盟の大学サイクリング部で行われている。参考としてイノコの写真を掲載している峠おやじさんのブログを紹介したい。京都大学サイクリング部の一員としてラリーに参加し、数々のイノコをくぐり抜けてきたオレとしては、その「イノコ」を世間に広めたくてかつて 小説「イノコ」を書いていくつかの文学賞に応募したのだが、作品を見る目のないボンクラ選考委員たちのせいでオレの「イノコ」は脚光を浴びることもなく落選した。これを映画化すれば青春映画の金字塔として大ヒットすることは間違いなしだとオレは自負しているし、同時にオレは小説「イノコ」の印税で遊び暮らせるのではないかと勝手な皮算用をしているのである。誰かオレの「イノコ」を映画にしてくれる物好きな映画監督はいないだろうか。そのときは「イノコのかけ声」をオレに吹き込ませてくれ。
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12月16日(火)
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