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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■間違った教育政策が日本をダメにした!
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 オレはこの日記の中で以前から増えすぎた大学をつぶせと言うことを訴えている。大学の質の低下が大量のニートややる気のない若年労働者を産み出すだけではなく、そんな大学に補助金が支出され、そして授業料などの負担でその親たちも貧しくなるという悪循環が発生してることを指摘してきた。現在の状況は文部科学省の間違った方針の結果もたらされたものであると。

 しかし、そのきっかけはいったいどこにあったのだろうか。どこから間違った方向に進んでいったのだろうか。オレはずっとその理由を探っていた。そして到達したのは今から40年近く前の教育政策が原因じゃないだろうかという結論なのだ。大阪で黒田、東京で美濃部という革新知事が誕生し、「15の春を泣かせない」などというスローガンで全日制普通科の公立高校を増設しまくったことが根本にあったのではないかとオレは思うのである。高校の中味が圧倒的に全日制普通科によって占められている状況が、多くの不勉強な大学生とニートやフリーターを作り出したのではないか。なぜ工業科や商業科という部分の定員を50%くらいで維持しなかったのか。普通科が大学進学を目的とするコースならば、その定員というのは大学進学率プラスアルファ程度で十分である。職業科と普通科はその目的が違うのである。そのことを理解せずに普通科の方が職業科よりも上だという変な偏見を持って、レベルの低い生徒が大量に入る普通科を粗製濫造したのだ。その結果、全日制普通科は高校の底辺を支えることになり、そこではかけ算や分数ができないどころか、教室で落ち着いて授業を受けることすらできない動物園のような状況が生まれたのである。もはや学校とは言えないような荒廃ぶりだったのだ。最初から職業教育に徹していればこんなことにはならなかっただろう。

 職業科の卒業生が就職の現場に来なくなった。その結果、日本の産業構造を支える製造業に人材が入ってこなくなったのである。だから現場ではブラジル人が働いていたり、中国から研修生という名目で雇ったりしている現状がある。なぜそういうことになってしまったのか。製造業の現場を希望する優秀で勤勉な若者が相対的に減少してしまったからである。

 商業科の卒業生が減少した分は短大や専門学校へとシフトされた。本来高校でやれたことが2年間後に引き延ばされ、親たちは余計な教育コストを支払うことになり、就職する年齢の上昇は女性の晩婚化を加速した。もっとも晩婚どころか結婚しない人がどんどん増えるということまでは予測されていなかったのだが。商業科の卒業生女子が大企業の一般職という形で大量に雇用され、20代半ばで結婚して退職していくことで男性はその中から結婚相手を選ぶことができたのだが、就職時期が遅れることで結婚年齢が上昇しただけではなく、全体の人数が減ってしまったのである。

 高校の定員の中で一定割合の職業科を確保することが、日本の産業構造を維持するために必要だったのではないか。大学卒のホワイトカラーだけでは企業は維持できない。多くの現場で働く従業員が必要なのである。工業科を卒業して製造業に入ってくる若者を正社員として待遇し、定年までの雇用を保障して安定した生活を約束することが必要だったのではないか。正社員を減らして期間工や偽装請負に置き換えて行くことがコスト削減の上手な方法とされ、その手法で業績を伸ばしたCANONのようなやり方がモデルとされている今の企業のあり方は根本的に間違っているとオレは思うのだ。しかし、その状況を生み出したのは間違った教育政策であり、公立高校の定員配分のミスから始まったのだとオレは思うのである。普通科を希望する生徒が多くても、能力で制限すべきだったのだ。大学受験という可能性を限定することで大学生の質も維持できたのである。


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10月06日(月)
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