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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■事故米転売問題をもっと考える
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 大阪市の米販売会社「三笠フーズ」が農薬などに汚染された事故米を食用と偽って販売していた問題は、徐々にその流通過程が解明されてきた。三笠フーズが1キロ9円で仕入れたもち米は、最終的には1キロ370円で日清医療食品近畿支店が購入し、近畿2府4県の119施設に販売されていた。価格は最終的に40倍以上になっていたのである。もしも三笠フーズが9円で仕入れたものを370円で売っていたのなら三笠フーズだけにこの責任を負わせればいいのだが、流通過程でいくつもの業者が絡んでいたとなると、責任の所在はもっと分散されてしまうのではないかとオレは思ってしまうのである。最終的な価格の1キロ370円ならば、誰だってそれが事故米であるとは思わないだろう。オレがふだん買っている米よりも高いくらいである。そう、この問題で大切なのは流通過程のどの時点までその米が「事故米」であるということが把握されていたかということなのだ。

 三笠フーズから1キロ40円でその米を購入した佐賀県の仲介業者は、その価格から考えてその米がまともなものではないことをおそらく理解していたはずである。そのまともじゃないものをどう処理するのか。第三者への転売という方法でこのババ抜きゲームは始まり、途中で米は米国産にされてしまい、最後には食用の普通の米の値段になってしまったのである。その場合の責任は三笠フーズ一社だけなのだろうかとオレはふと疑問に思ったのである。そして、事故米を大量に購入した業者がそれをどのように処分したのか。少なくともそれを払い下げた政府が「あとは野となれ山となれ」では困るような気もするのだ。なぜ相手を疑わなかったのか。もしもこいつが悪徳業者なら食用として高値で売りさばくのじゃないか。オレのような疑い深い人間ならすぐに「こいつら怪しいぜ」と見抜いただろう。

 この事故米の流通過程の中程に位置する神戸市の業者、大豆油糧は国産として仕入れた米を1キロ入りに小分けして、アメリカ産というシールを貼って転売した。産地の偽装である。それを仕入れた堺市の大和商会という業者は、結局は普通のもち米よりもやや安い価格で日清医療食品に売却したのである。たぶんその言い訳はこうだ。

「確かに産地を偽装はしたが、農薬に汚染された米だったとは知らなかった。」

 そこでオレは思うのだが、どうして政府はこの「事故米」をわざわざ輸入しているのだろう。日本という古い食文化の伝統のある国に輸出する以上、その土地でとれた米の中で最上級のものを輸出するのが当然だろう。政府もおそらく輸入枠があるので仕方なく購入したこの事故米を買ってくれる相手方が見つからなくて困っていたはずである。三笠フーズがじゃんじゃん買ってくれるのは「渡りに舟」だったわけだ。おそらく三笠フーズ以外が政府から払い下げを受けた他の事故米も、流通過程でかなり食用に回されたのじゃないかとオレは思っている。工業用の糊に使われるコメの需要なんてそれほど多いわけではない。そして食用に転用すれば高く売ることができる。

 ここからは全くオレの憶測なのだが、おそらく三笠フーズと農水省の間にはなんらかの取引が存在したはずである。三笠フーズが食用に横流ししてることをうすうす感づいていても、農水省の職員は何らかの意図でそれをお目こぼししてきたのだろう。9円で仕入れたものが40円で売れるという莫大な利益の中で、役人側に還流した分が存在したのかも知れない。そのあたり、確たる証拠はないし、もしもそんな事実があれば大変な事件に発展するだろう。国民の食の安全を守らないといけない側が、全く逆の行為に手を貸していたのだから。

 ここで役人側に責任があると主張することで、オレは三笠フーズの行った行為を擁護する気は全くない。しかし、この事件の背後に存在する本当の悪はいったい何なのかということを考えたとき、激しい怒りと、そんな連中が今の政治を動かしているということへのやりきれなさに襲われるのである。太田誠一はクソだが、本当のクソは農水省という組織、いや官僚組織すべての中に存在するのかも知れない。


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09月14日(日)
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