ID:41506
江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
[18849061hit]

■ガストで日本経済について考える
 社会にはさまざまな仕事があって、誰もが冷房の効いたオフィスでデスクワークするホワイトカラーになれるわけではない。炎天下で交通整理しないといけないガードマンもいれば、おいしいパンを焼くために毎朝3時に起きている人もいる。これだけ街にクルマが走ってる以上、自動車整備士がいなければ話にならない。この世のどんな仕事も社会には不可欠なのであり、一流大学卒といった学歴がなくても自分が選んだ仕事のプロになることでしっかりと誰もが自己の存在価値を見出だすことができるのだ。

 ファミレスを運営するのは大変だ。来店するお客を円滑に処理するために必要な人員は何名かをきちっと判断して、必要な人員を確保するために最大限の努力をし、いろんな年齢のバイトを組み合わせて時間と曜日を調整して常に店をベストの状態にするにはある程度の調整能力が必要である。難関大学を出ても不況のせいでなかなか希望する企業には入れないと嘆く若者が多いが、その一方でいい人材が集められないためにひどいレベルの商品しか提供できないファミレスがある。

 トヨタや三井物産や三井住友銀行への就職を考えていた若者は、サイゼリヤやゼンショーや吉野家やファミリーマートなんて考えたこともないだろう。しかし、そうした外食産業やコンビニの幹部は中国という世界最大の市場に進出して12億の人民相手のビジネスを考えているのである。もしかしたらトヨタよりもはるかにすぐれた成功戦略をすでに準備してるかも知れないのである。日本の接客業のレベルは世界最高だとオレは思っていた。しかし、そのレベルを維持するために必要なのは中学高校を遊び暮らし、その上さらにFランクの大学で4年間遊んだどうしようもない馬鹿ではなくて、中学や高校の段階からきちっと職業教育を受けた人材ではないのか。いい指導者の下での部活動を経験してチームプレイの大切さを理解しているハートウォーミングな若者たちではないのか。幼い頃から親の働く姿を見て育ち、他者のために苦労することをいとわない奉仕精神溢れる若者ではないのか。今の教育はそのために機能しているのか?否である。中学や高校が2極分化し、一方は受験のためのただの予備校となり、もう一方は勉強なんかろくにやらないで授業中も漫画を読んだりDSやPSPで遊んだりメールを打ったりしているニート養成所となっているのが現状である。

 高校の定員の半分近くが職業科だった時代、工業科を出れば大手自動車メーカーから町工場に至るまでちゃんと就職先があった。商業科を出れば百貨店や総合商社に入れた。高卒でトヨタ自動車に正社員として就職すれば、定年までの安定した人生は保証されたようなものだった。20年以上前にオレが公立高校の進路指導室にいた頃、トヨタ自動車の求人担当の方がお見えになって「このあたりの方は縄文時代からそのまま住んでるのでしょうか。愛知になんて来てくれませんわ」と吐き捨てるようにおっしゃった。普商工農なんて序列を誰が言い出したのだろうか。普通科ばかり増設しても誰もが大学に入るにふさわしいわけではない。分数のできない大学生がいる現状を見ればその方向性が間違っていたことは明らかだ。どうして大学入学者数を世代人口の20%くらいに絞らなかったのか。だったら大学卒はもっと価値あるものだったし、高卒で就職することはごく普通のことになったのだから。

 なぜ大企業が高卒を採らなくなったのか。高卒で就職しようという人材のレベルが低すぎて必要なニーズを満たせないからである。だったら大卒や短大卒を採ればいいのかというと、人間として大切なものが欠けていたりするのだ。教育の崩壊がそのまま今の大失業時代、ニート大発生時代につながってるのである。そして教育が崩壊したのは国の教育行政に決定的な誤りがあったからだとオレは思っている。ゼニの掛かる塾や予備校を放置し、国立大学の授業料を値上げし、貧富の差がそのまま教育の結果に反映する状況を黙認してしまったことだ。なぜそんなひどいことをしたのか。その結果どうなるかを誰も予測できなかったのか。どこまでおまえらは馬鹿だったんだよとオレは昔の文部官僚どもに怒りを覚えるのである。


[5]続きを読む

01月01日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る