ID:41506
江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■気づいていたのになぜ助けてくれなかったの?
 担任の女性教諭が電話したときに親は「この子はあちこちに体をぶつける」と答えたという。そのときになぜ本人の主張との食い違いを問いたださないのか。「虐待の疑いがありますので、児童相談所に通告します。場合によっては警察の方に来てもらうこともあります」と言えなかったのか。気になったときになぜすぐに家庭訪問しなかったのか。面会を拒否された場合は即座に児童相談所に連絡すべきじゃないのか。問題があるから会わせないのである。

 20年以上も前のことだが、公立高校でクラス担任を持っていたとき、オレは気になる生徒があるとよく家庭訪問をした。生徒のことをしっかりと把握するにはそれが一番重要だからだ。喫煙で停学処分を受けた生徒の家に行ったとき、玄関先ですぐに母親がヘビースモーカーであることがわかった。家そのものがタバコ臭かったのである。「この母親は息子の喫煙は黙認だろうなあ」と思ったが案の定またしても学校での喫煙が見つかって二度目の停学となった。

 幸いにしてオレは、自分が担任をしていた生徒が虐待に遭っていたという経験はない。(生徒が家庭内暴力で家族を虐待していたという例ならあったが。)ただ、もしもそんな事例に出会ったら何よりも先に生徒の避難場所を探すだろう。どこに行けば安全が確保できるか、それを考えるだろう。西淀川区のこの事件、もしもオレが隣人だったらたとえ誘拐と言われようが自分の家にかくまうだろう。そして警察に虐待を訴える。殺されてしまってからでは遅いのだ。

 虐待されて殺される子どもたちの多くはまだ学校にも通わない幼児のうちに誰にも知られないままに殺されてしまう。今回は9歳だから少なくとも本人が被害を訴える手段を持っていたはずである。なぜ周囲の大人たちはその小さな叫びを理解してやれなかったのか。「新しいお父さんが怖い」とクラスメイトには語っていたという。母親に新しい男ができ、その男から虐待を受けるというのは昔からいくらでも起きているパターンじゃないか。もしも聖香ちゃんがもっと大きかったら性的虐待を受けたかも知れない。

 救済するのが一日遅れれば、一日虐待を受ける時間が増えるのである。今も日本中で親からの虐待を受ける無数の子どもたちがいる。殺されないまでも、その寸前のところで心身に重大なダメージを受けて育つ子どもたちがいる。何度繰り返されてもこの状況は変わらない。「こども110ばん 子どもたちを守る家」の旗は何のために立てられているのか。子どもたちが駆け込み寺として活用できる場所は地域にどれだけあるのか。虐待を知りながら放置した周囲の大人たちよ、あなたがたも聖香ちゃんの死に間接的に手を下したことと同じである。なぜ救ってあげられなかったのか。

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04月25日(土)
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