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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■京都でお花見デートだ!
 まあ大文字山への登山ははへとへとになってしまうので、お花見メインの時ははずしてもいいだろう。ということで参拝が済んだら参道を降りて、哲学の道沿いに南下するのである。ここも疎水べりの散歩道がサクラの名所である。永観堂を経て南禅寺まで歩くことになる。南禅寺といえば湯豆腐だが、貧乏な若者のデートにたかが豆腐料理で3000円以上も掛かってしまうのは言語道断なのである。しかし、女の子はたいてい湯豆腐が好きなのである。肉食女子もたまにはそういうヘルシーなものを食べたい気分になるのである。なにしろここは京都である。もしもまだ彼女とさほど親密ではなくて、お弁当を作ってもらえるなんてことがなかったらちょうどこのあたりでお昼ご飯にするのがいいかも知れない。ただ、お花見の時期はどの店も超満員の可能性が高い。「奥丹」や「順正」のような人気店は混雑していてとても入れないだろう。

 南禅寺ではあの水路閣を見学しよう。よく京都を舞台にしたテレビドラマで使われる場所である。別にそこらに死体が転がってるわけでもないので全然サスペンスでも何でもないのだが。水路閣の上に登って、そこから蹴上浄水場の方まで歩く。ここからインクラインのところをずんずん降りていくのである。サクラがいっぱい咲いていて、しかも全然ゼニの掛からない無料の場所ばかりを選んでいるのである。それが貧乏な若者の楽しみ方である。

 さて、蹴上まで降りてきたらまたバスで移動しよう。八坂神社まで行ってもいいし、平安神宮や岡崎公園まで移動してもいい。歩いても行けるくらいの距離だが、どうせバスは一日券で何度でも乗れるのだから、短い距離でも来たバスに乗って移動すればいいのである。さて、次の目的地は清水寺である。八坂神社から登っていって円山公園を進むと、公園の中央に巨大な枝垂れ桜がある。ここはかなり絵になるスポットなので必ず立ち寄ろう。そしてちょっと贅沢だが、長楽館の喫茶室でちょっとお茶の時間にするのである。いくら貧乏なデートでも一点だけリッチにするのがインパクトを与えるのである。

 さて、せっかくバスの一日券があるのなら、清水寺の近くまで行ってしまっても・・・と考える人もいるかも知れないが、それは止めた方がいい。というのは、清水寺の周辺の道路はものすごく混雑するので、渋滞に巻き込まれたバスは全く動かないのである。具体的には東山通りの三条から五条までの区間は乗らない方がいいということだ。ここを外してバスに乗るのである。八坂神社に行くにはバスで祇園まで行く必要があるが、混んでいれば降りて歩いた方がいい。たいした距離ではない。平安神宮からまっすぐ南下すれば、知恩院経由で八坂神社に到達できる。

 さて、そこから清水寺まではそれほど離れていないのだが、ここまで歩いてくるとかなり疲れているかも知れない。そんな疲れた身体には甘いモノがいい。というわけで清水寺の参道でまたしても試食の八つ橋を食いまくるのである。お茶もついている。これで元気回復である。辛いモノが好きな方は、途中の七味屋さんで七味入りチーズなんかをお土産に買うといい。ビールのおつまみになかなかいいのである。

 さて、清水寺にやってきたら拝観する前に寄るところがある。それは山門をくぐったところの正面にある「胎内巡り」である。このデートの中で一番大事なのが実はここである。そのためには清水寺なんかどうでもいいのである。「胎内巡り」というのは、暗闇を手探りに進むヤツである。それがここではなんとたったの100円で楽しめるのである。さあ、彼女と二人でこれにチャレンジするのだ。暗闇の恐怖とドキドキ感、このドキドキ感はただ単に暗くて何も見えなくて怖いからドキドキするのだが、そのドキドキ感をたいていの女の子は恋愛のドキドキ感と勘違いしてしまうのである。そんなときに「怖いからしっかり手をつないでいこうね!」などとやると、もう性交、いや成功間違いないのである。

 胎内巡りでしっかりと手をつなぎ合った二人が、清水寺を参拝して、そこにある縁結びの神様である地主神社にお参りするということはもう恋愛が成就したのと同じことである。

 えっ、いくらマニュアルを示されても相手がいないって? そんなことオレの知ったことではないのである。


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04月03日(金)
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