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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■橋下知事、あなたは間違っている!
公立高校の入学試験には定員があり、希望者が全員入れるわけではない。公立高校に進学したかったのに不本意ながら不合格となって、言葉は不適切だがいわゆる「滑り止め」とされる私学に入学する生徒もいる。私学の授業料が値上がりすることはそうした生徒から学習の機会を奪うことであるとは私は思わない。今でも生活困窮者に対しては公費による補助の制度がある。何よりもその前に、自分の家が生活が苦しくて親に負担を掛けたくないのならば、なぜ死ぬ気で勉強して公立に合格しなかったのかとオレは言いたいのだ。大阪府の公立高校入試なんてせいぜい1.2倍くらいの競争率である。そこで不合格になるのは自分の偏差値よりもかなり上にチャレンジしたのか、あるいは志願者の中で特に成績が悪かったかということではないのか。一つの学区内にはかなりの数の公立高校がある。中学校の内申が10という優秀な生徒ばかり受験する学校もあれば、内申が2や3でもちゃんと合格できる公立高校もあるからだ。受験時に自分の成績に合ったところをちゃんと選んだら、不合格のリスクはかなり減らせるはずである。
大阪府の公立高校の中には入学者の3割近くが卒業までに辞めてしまう高校もある。卒業生の多くがちゃんと就職できずにフリーターやニートになる高校もある。そうした学校にも税金は惜しげもなく投入されている。いや、むしろそうした教育困難校により重点的に税金が使われている。もちろん教育現場にいるオレとしては、そうした学校の現場で働く先生方の苦労が大変なものであることがよくわかるし、困難な生徒を教育することをやめてしまえば、非行や犯罪が増加してもっと住みにくい社会になってしまうこともよく理解できる。しかし、納税者である大阪府民たちは、まるでやる気がなくて学校もサボりたおし、授業中も音楽を聴いていたり漫画を読んでいたりする困難校の生徒たちのために、私学よりもはるかに手厚く税金が使われてることに対して怒りを感じるだろう。一定以下の学力の生徒を切り捨てるのは易しいことだし、それがもっとも経費削減につながるのも事実だ。しかし、だからといってそうした教育困難校を廃校にすればそれでよいのか。そこに通っていた生徒は今度はどこに行くことになるのか?進学校の教師なんかは勉強さえ教えていればいいから簡単だ。真に有能な教師はそうした教育困難紺にこそ必要なのだ。しかし、条件を悪くして「教育に関して熱意があれば給料が安くても来てくれるはず!」と理想論を説かれても困るのである。
社会に於いて学校の果たす役割は、単に費用対効果の問題でははかれない側面がある。上の記事の中で生徒たちの思いはおそらくそこにあったのだろう。しかし橋下知事の価値観は「受験勉強が足りなくて公立高校に入れなかったのは自己責任」というのが根底にあるのだろう。それは橋下知事がその受験競争を勝ち抜いて北野高校に合格されてる方だからこそ「家が貧しくても受験勉強はできる」という主張ができるのだろう。だったら公立高校を減らせばいいじゃないか。公立を真の受験エリートだけの場所にして、数をぐんと減らせば経費削減は一気に達成できるだろう。その浮いた分のゼニを私学助成に回せばいいじゃないかと。もっとも公立高校の統廃合も橋下知事の方針に入ってるので、少しは問題の本質がわかってるのだろうとは思うが。
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10月25日(土)
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