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雲間の朝日に想うこと
by 小坊主
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■何番目の貝殻代わりですか
自身を掴み離さぬ大きな幹を、
捜し求め続け、
未だ其の途に在る故に。
寄居虫の様に、
手頃な仮住まいを纏い、
猶も迷い、
複数の貝を被る。
其の行為が、
是か非か。
判断を下すのは、
飽く迄当事者のみに与えられた権利だけれど。
宿木を複数所有すると言う、
事実の自覚と。
自身の信を相手に見せぬ以上、
相手の信を得られぬとしても当然であると言う、
覚悟の自覚と。
其れは全てに於いて、
自身が選択し創り上げた物だと受容する、
責任の自覚と。
最低限の義務を果たした上で、
当事者に与えられる権利だと思うから。
「選べなくても良いですよね。」
俺に許容を求めた御嬢へ。
「選べないじゃない。」
「選ばないだよ。」
「人に依存しないで自分で何とかしなきゃ。」
足りぬ自覚を伝え、
鼓舞した心算だったのに。
「三番目でも四番目でも良いですから。」
潤んだ瞳に乗せる牝狐の言葉は、
的確に雄の本能を揺さ振り。
悟られぬ様に、
俺は手掌の脂汗を隠した。
自身を軟着陸させ得る存在と、
自身を厳しく追い立てる存在との間を、
交互に行き来して。
ただ自身を肯定する柔らかい存在が、
今は心地好いだけだから。
御嬢は俺に許容を求めるんだ。
きっと次は。
今御嬢が振り向こうとしている雄が、
優し過ぎると。
其の言葉を持参して、
俺の元に来る。
10月13日(月)
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