ID:27426
雲間の朝日に想うこと
by 小坊主
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■無事なら良いと想えないのか
繋がらぬ電話。
届かぬメール。

自身の状況すら伝える事を許されず、
途方に暮れる。



次々に届くメール。
次々にかかる電話。

友人や親類からの便りは在れど、
貴女の声は無い。




焦りと共に、
貴女が錯乱してやしないか、
不安感も高まる。














何度も何度も接続を試みて。


 「無事です。」


僅か五文字の文を、
漸く貴女の元に届けた時。

俺の周囲で起きた物事を、
貴女は頭の片隅にも置いていなかった。





貴女から、
貴女の家から、
俺の携帯に電話しろと指示して。

現状を把握して、
少しでも可能性の高い方法を、
貴女に指示して。


 「地震大丈夫だったの?」
 「無事だよ。」

 「揺れなかった?」
 「揺れた。」

 「大きかったよね。」
 「荷物は全部崩れ落ちた。」


やっとの想いで、
貴女の声と束の間の安心感と幸せを、
手に入れたけれど。













其処まで俺は、
貴女を想う必要もなかったのか。



崩れ散乱した荷物の山を、
片付けながら。

漠然と浮かび来る寂寥感を、
どうしても消せない。
05月26日(月)
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