ID:27426
雲間の朝日に想うこと
by 小坊主
[165451hit]

■歓べないのですか
君の体調が悪い。

人伝に聞いた言葉で、
君の旦那から聞いた一言で、
俺の中にほぼ確信に似た予感が芽生えた事を、
この胸の拍動が気付かせてくれた。





其処まで強い確信を持ちながらも、
想いを心配と称する方便で包み隠して、
携帯を握り締めた。



 「大丈夫。」
 「何が?」

 「今居ないから。」
 「まったく・・・」

 「だって・・・」
 「止めろって言ってるじゃん。」



何故隠すのかと、
何度と無く繰り返して来た忠告も、
何ら変化を齎していない事。

俺の親友である筈の旦那から、
俺に対する猜疑心も敵対心も不安感も、
決して消えていない事。


結局聞こえて来た君の声は、
今迄と全く変わらぬ二つの事を、
俺に教えるに留まった。















解決すべき事柄をその儘に、
遂に柵を振り出しに戻せない時が来てしまった。



即ち其れは。


致命傷を抱えても、
柵を絶つ事が出来ない状態に、
君が陥らぬ様に。

ただ俺の元に、
そう願う事しか出来ない時が来た事を、
暗に意味する瞬間でもあるのだ。








其の事実を知ってか、
それとも知らないからか。



 「出来ちゃったんだよね。」
 「やっぱりそうか。」



全く弾まぬ君の声が、
鼓膜の裏でぶるぶると震え続けて消えない。
04月11日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る