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雲間の朝日に想うこと
by 小坊主
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■文字が歳月を見せるのですか
自分宛に届いた年賀状から、
一枚だけを引き抜き、
机の上に置く。
去年届いた年賀状。
葉書の裏には、
貴女が付けた大きな口紅の跡がある。
俺の唇を紅に重ねて、
初めて貴女の唇を奪った瞬間を、
想い起こした。
自分宛に届いた年賀状から、
一枚だけを引き抜き、
その隣に置く。
今年届いた年賀状。
葉書の裏の紅の跡は、
其処には無かったけれど。
俺の額に葉書を重ねて、
初めて貴女を奪った実感を、
想い起こす。
貴女の周りから、
あの男の物が一つ消えた。
たった其れだけの事なのに、
何故か大きな違いの様な気がしてならなかった。
貴女の書いた姓が、
元の姓に戻っていた。
たった其れだけの事なのに。
中に潜む一年の重みを感じて、
武者震いが止まらない。
01月12日(日)
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