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武ニュースDiary
by あさかぜ
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■映画エッセイA(金城武という文字について・3)
「十面埋伏」の撮影が北京に移ってからというもの、
監督のチャン・イーモウは、撮影に忙殺されながら、
他方ではマスコミから秘密を守る自衛戦に忙しいといいます。
しかし、隠せば隠すほど関心を引くものです。
北京の撮影所の付近には、中国国内のマスコミが待機するばかりでなく、
香港台湾からの記者も「埋伏」中で、スクープ合戦が繰り広げられている模様。
撮影は現在、非常に順調だそうで、ウクライナでのような「流血」騒ぎもないとのこと。
アンディと武は南の地方での生活が長いので、
目下、彼らにとって最大の困難は北京の冬の寒さだということです。
以上、24日の青年時報から。
マスコミ勢の奮闘の成果を待ちますか。
以下、昨日の続きです。
**********
2本を借りて帰り、パソコンで1人ゆっくりと見ながら、タバコを吸い、コーヒーを飲んだ。
武という名の警官を見終わると、次は武という名の口の聞けない男を見た。
「天使の涙」の武の方が少し好きだなと思った。
この武は孤独だが、彼のやり方で自分を孤独じゃなく≠キる。
にこやかに人を引きずりこんで洗髪する。
にこやかに豚をマッサージする。
にこやかに、一家をつかまえてアイスクリームを食べさせる。
にこやかに独身の女に黄瓜をプレゼント≠オようとする……。
チャーリー・ヤンという怪物と出会った後は、
何もかまわず、彼女と一緒に世界を飛び回る。
彼はいつでも、自分の孤独を解消する方法を知っている。
同じように孤独だが、「恋する惑星」の武が選んだのは、
1人でジョギングし、パイナップルの缶詰を山ほど買って食べ、
彼女からの電話を待ち、食べつくしてしまうと、
バーに行って女が引っかかるのを待つことだった。
この2人の武を見終えて、僕はパソコンの前でぼうっとしていた。
突然、ある考えが浮かんだ。
00はとうに見抜いていたんだ、
僕が「恋する惑星」の武のように、
積極的に何かを勝ち取ることができず、その場から動くことなく独り言をいうだけで、
ばかばかしいことをして、孤独を隠すけれど、
それでもいつも待ち続けている人間だってことを。
そして00こそ、「天使の涙」の武のようなヤツであり、
彼も孤独で、だが、いつだって解決する方法を知っていたのだ。
彼は思いついたらすぐ実行に移すたちで、あれこれ考えたりしなかった。
これが僕たちの最大の違いだった。
その夜、僕は改めてこの2本を見直し、たった今00に電話して、
僕は本当は「天使の涙」の方が好きなんだ、と告げたいと思った。
「天使」の武はこだわりなく、自分でさっさと解決を見出していく。
僕にはできない。武という名の警官もできない。
小市民はいつだって、何かを捨てることが出来ないのだ。
本物のパンクが、自分がいいと思えば何もかまわないようには出来ない。
僕はパンク音楽は嫌いだ。だが、「天使の涙」のパンクな武は好きだ。
残念なことに、00の今の電話番号がわからない。
武はこの2本の映画で、ウォン・カーウァイの薫陶を受け成功した。
ウォン監督の功績はもちろん偉大だ。
だが、一番肝心なのは武自身の頑張りなのだ。
彼にはこういう役が一番はまると、僕はひそかに思っている。
孤独で、あくまで冷めていて、退廃的で、孤独だが心は火のように熱く、
繊細で、ちゃらんぽらんで、ひたむきな、こういうタイプの人物を、
適切にとらえ、説得力がある。
それは彼自身の憂鬱気質と関係があり、
育った家庭や社会環境とも、関係があるに違いない。
つまり、武はウォンのこの2つの作品で、2人の孤独な武を演じた。
1人はゆきあたりばったりの変わり者、1人は独り言をつぶやく内向的な人間
――両方とも、彼の演技で、まるで本当にそんな人間がいるかのように思える。
孤独で、変わっていて、ひたむきだという点については、
「パラダイス!」のもう1人の武に触れなくちゃならないだろう。 (続く)
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11月24日(月)
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