ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■口からの回復、耳からの回復
Box 4-5-9 というアメリカのAAのGSOが出しているニューズレターの夏号が発行され、AAメンバー数の推計が掲載されています。

Box 4-5-9 - News and Notes from G.S.O.
http://www.alcoholics-anonymous.org/subpage.cfm?page=27

それによると、今年(2013年)1月1日時点でのアメリカのAAメンバー数は129万5千人あまりと推定されています。日本のAAはアメリカほど綿密な推計手段を持ちませんが、国内のAAメンバー数をざっくり5千人と見積もっています。

アメリカのAAメンバー数は日本の約260倍です。(ただし、人口も日本の約2.5倍なので、AAメンバーの密度としては日本の100倍ぐらいと考えてください)。

そんなアメリカに行かせてもらう機会がありました。AAミーティングにも3回出席できたので、その印象をこの雑記でお伝えしたいと思います。

最初の二つのミーティングは、いわゆるAAの「クラブハウス」で開かれていました。これはAAメンバーの有志がAAとは別に財団などを作って建物を借り(あるいは買い)、それをAA向けに会場として貸し出すものです。財団はAAとは別なので、AAグループは会場費を払って部屋を借ります。アメリカにはこうしたクラブハウスがたくさんあるようで、ネットで alano club という単語を検索するとたくさんヒットします。

僕が訪れたクラブは大きなもので、2階に300人ぐらい入る大きな部屋と、その他小さな部屋が幾つか。ジュースを飲みながら雑談するコーナーや、AAやアラノンのグッズを売るショップもありました。毎日、朝・昼・晩、それぞれ2回ずつAAもしくはアラノンのミーティングがあり、この他にAAの委員会もそこで行われています。

最初の晩のミーティングはスケジュール表には Open Speaker と表示されていましたが、中身はビッグブックのスタディミーティング(勉強会)で、講師役の二人のメンバーがホワイトボードに図を描きながらステップ1を説明していました。ミーティング終了後にそのホワイトボードを撮影した写真がこちらです。

http://www.ieji.org/dilemma/2013/07/aa-613.html

Physical Allergy(身体のアレルギー)とMental Obsession(精神の強迫観念)というステップ1を理解する上で重要な二つの概念が解説されています。これは Joe and Charlie に出てくる図と同じですが、ドーン・ファームの研修資料の中にも同じものがあったので、おそらくポピュラーなものになっているのでしょう。

このミーティングの参加者数は(正確に数えたわけじゃありませんが)250人ぐらいでした。この会場のある都市は人口20万人ぐらいで、AA地区のホームページを見てみると、この市内で約40のAAグループが活動し、毎晩10個ほどのミーティングが開かれています。僕は日本で人口20万人ぐらいの地方都市に住んでいますが、AAグループがひとつ、ミーティングは週に1回あるだけです(それでも恵まれている方でしょう)。彼我の差を感じざるを得ません。

日本でのAAミーティングは「言いっぱなし、聞きっぱなし」と呼ばれるスタイルが主流です。いや主流というか、これ以外のスタイルのAAミーティングなんてあり得ないと信じられています。アメリカでこれに相当するものは discussion ミーティングでしょう。アメリカのいろいろな地区のミーティング一覧を見ると、やはり discussion ミーティングが一番多いのですが、その他に study ミーティングもそれなりの数が存在しています。中には、discussion ミーティングをやっていないグループすらあります。

日本のAAメンバーも、ミーティングは「言いっぱなし、聞きっぱなし」しかあり得ない、という固定観念を打ち破るべきなのでしょう。各グループが、それぞれにアイデアを出し、新しいやり方を試していって欲しいと思います。


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07月16日(火)
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