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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■その力があなたの問題を解決する
日曜日は夕方からステップの勉強会をやりました(月イチでやっている)。その内容の振り返りなど。
ステップ1は「アルコールに対して無力」であることを認めるステップです。
アルコホーリクが1杯の酒を飲むと「渇望現象」が起こり、酒を適量にコントロールすることができなくなることが問題です。今のところ、これを根治できる治療法は見つかっていません。これは「解決できない問題」ですから、変えられないものとして受け入れるしかありません。
酒(や薬やギャンブル)を適度にコントロールできないのなら、きっぱりやめるしかない、ということです。
では、酒や薬やギャンブルをきっぱり断った人が、なぜ再び酒や薬やギャンブルに手を出すのか? それは、その時その人の頭の中で「今度こそうまくコントロールできる(うまく飲める)」という間違った考えを信じてしまうからだ、と説明されています。こちらの問題をビッグブックでは「強迫観念」と呼んでいます。
強迫観念とは「真実でないこと(ウソ)」を信じてしまうことです。断酒中の人は「私は今度こそうまく飲めるとは思っていない」、自分はウソを信じる人間ではない、と主張するでしょう。もちろんそのとおりです。飲めばどうなるか分かっているからこそ断酒が続きます。ところが、その同じ人が、いつかは今度こそうまく飲めるというウソを信じてしまう瞬間がやって来るのです。その時にはもう酒を退けることはできず、最初の一杯に手をだしてしまいます。
アルコホリズムの傾向がある人には、いつかはその時と機会が必ず訪れ、だから必ずまた飲む(p.61)、というのです。
飲めばどうなるか分かっていながら、自暴自棄の気持ちで「どうなってもかまわない」と酒に手を出す場合もあるでしょう。でも、飲酒したことを後になって必ず後悔するわけですから、「どうなってもかまわない」というのは真実ではなかった(ウソ)であることがわかります。
再飲酒(リラスプ)というのはそんなふうに起こるのです。つまり、今度こそ違う結果が起きるというウソを信じてしまうことです。これこそが私たちが抱える問題の核心(crux)だと言っています(p.51)。その強迫観念は人の力では解決できないため、アルコホーリクはアルコールに対して無力なのです。
渇望現象を理解すると「なんとか酒をコントロールしてうまく飲もう」という考えを捨て、酒をやめる努力をするほうへ切り替えることができます。強迫観念を理解すると「自分の力で酒をやめていく」という考えを捨てて、人間以外の力を頼るほうへ切り替えることができます。
さて、昨日の勉強会の主題は第4章でした。ビッグブックの p.66 にはこうあります。
「必要な力がないこと、それが問題だった。私たちは生きていくための力を見つけ出さなければならなかった。それは自分を超えた偉大な力でなくてはならないことがはっきりしている。けれどもその力をどこに、どうやって見つけ出すのか」
必要な力が無い=無力、ということです。普段は酒を飲めばどうなるか良く分かっていますから、意志の力が働いて断酒が続きます。しかし、いつか強迫観念に襲われる瞬間が来たとき、酒を退ける力はアルコホーリクにはありません。「そんなことは自分には起こらない」と信じるのは勝手ですが、そういう人はいざ再飲酒をした後で「魔が差した」とか「ついうっかり」という言い訳を自分にします。
「魔が差す」「うっかり」という言葉は、ウソを信じるという強迫観念の本質をよく表現しています。
自分に解決する力がないのなら、解決できる「力」をどこかに見つけ出さなくちゃなりません。
さて、その次の文章(p.66の最後の行)はとても大事な部分です。学校の先生が黒板を指して「ここテストに出るからな」と言うのと同じで、ここだけは押さえておけ! という部分です。
「それこそがこの本の主題である。この本の目的は、あなたが自分の問題を解決するのに必要な、あなたを超えた偉大な力を見つける手助けをすることである」
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04月03日(水)
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