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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■生活保護について
テレビのワイドショーを見ている余裕もありませんが、この一週間は芸能人の母親が生活保護を受給してどうのこうのと騒がれていたようです。
僕の住む長野県は全国的に見て生活保護の受給率が低い県のようです。
少々データが古いのですが、分かりやすい図があります。
図録▽都道府県別生活保護率
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7347.html
生活保護率(人口千人あたりの受給率)の高いところは、北海道・京阪神・九州北部・沖縄です。大阪と言えば最近新しい知事が何かと騒がしいところです。
上に挙げたページには、生活保護率と失業率の相関図もあります。仕事がなければ収入がない人が増えてしまうのは当たり前で、生活保護受給者の増加を語るには、経済政策の話をしなければならないのに、なぜか福祉政策の話にすり替えられてしまっています。
また、北海道と沖縄の失業率が高いのは、国の隅っこだからです。人もモノも国の真ん中に集まるので、隅のほうは経済が不活発になってしまいがちです。これを解消するには、国境を越えて経済活動が活発になればいいわけで、ロシアとの関係が改善されたり、東シナ海の緊張が緩まればいいわけですが、外交と福祉政策を関連づけて考える人は少ないものです。
こうした事情を除けば、一般に都市部では生活保護率が高く、田舎では低くなります。田舎は親子同居が多くて親族による生活扶助が成り立ちやすかったり、生活に自動車が必須で生活保護が受給しにくかったりする事情があります。都市部だと、やはり東京・大阪・福岡は受給率が高くなっています。不思議なのは愛知の受給率の低さです。これは東海地方は自動車産業が活発なのと、名古屋も意外とイナカなのかもしれません。
さて、生活保護の人にとってはAAミーティングに行く電車代も大きな負担です。長野でも数は少ないけれど生活保護受給のAAメンバーがいて、交通費が大変だと聞きました。そこで「AAミーティングに通う電車代だったら生活保護から出してもらえるはずだ」と伝えてあげました。
ところが、生活困窮者の支援機関の人も、行政の窓口も、そのことを知らなかったそうです(調べてもらったらちゃんとそういう規則があった)。厚生労働省の局長通達に
「生活保護法による保護の実施要領について」(生活保護実施要領)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110721Q0010.pdf
というのがあります。
生活保護は基準生活費のほかに、家賃や子供の費用のような加算がいろいろあるのですが、一般生活費の(7)に移送費という項目があります。
これは受給者がいろんな理由で移動する際の交通費を支給する決まりです。例えば親の危篤や葬式とか、刑務所への面会とか、様々な場面が想定されています。該当する場合には(乗車船券を交付するなどなるべく現物支給で、という但し書きがありますが)、必要最小限度の交通費、宿泊料及び飲食物費を支給して良いことになっています。
実はその移送費の対象の中に(セ)という項目があります。全文を引用します。
(セ)次のいずれかに該当する場合であってそれがその世帯の自立のため必要かつ有効であると認められるとき。
a アルコール症若しくはその既往のある者又はその同一世帯員が、断酒を目的とする団体(以下「断酒会」という。)の活動を継続的に活用する場合
b アルコール症又はその既往のある者(同伴する同一世帯員を含む。)が、断酒会の実施する2泊3日以内の宿泊研修会(原則として当該都道府県内に限る。)に参加する場合
c 精神保健福祉センター、保健所等において精神保健福祉業務として行われる社会復帰相談指導事業等の対象者又はその同一世帯員が、その事業を継続的に活用する場合
AAも「断酒を目的とする団体(断酒会)」の範疇なので、受給者が継続的にAAミーティングに出る場合には、交通費を支給して良いわけです。
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05月29日(火)
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