ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■閑話二題
日本とアメリカの両方のAAミーティングに出た人の話です。

アメリカでは、AAのビギナーは1年間はミーティングで話をせず、他のメンバーの話に耳を傾けるように言われます。子供の頃から自己主張することを訓練されてきたアメリカ人は、AAミーティングで話をさせると自己主張するばっかりで他の人の話が耳に入ってこない。これでは回復できないから、まず1年間は人の話を聞いてもらう。

一方、日本のAAミーティングでは、ビギナーでもどんどん話をするように促されます。日本人は自己主張することが苦手で、特に中年以上の男性はそもそも主張するべき自分の意見すら持っておらず、社会の意見に流されているだけ。自我(self)を取り除くには、まず取り除かれるべき自我を育てなくちゃならない。

こうして見ると、日米の文化の違いが分かって面白い・・という話でした。僕はアメリカのAAには出たことがないので、「へえ〜」と言うばかりですが。

さて話は変わって、wired.jp にこんな記事が掲載されていました。

Facebookは「人間的なつながり」を壊すか
http://wired.jp/wv/2010/11/12/facebook%e3%81%af%e3%80%8c%e4%ba%ba%e9%96%93%e7%9a%84%e3%81%aa%e3%81%a4%e3%81%aa%e3%81%8c%e3%82%8a%e3%80%8d%e3%82%92%e5%a3%8a%e3%81%99%e3%81%8b/

通信手段が発達していなかった頃は、友人と連絡するためには直接会いに出かけるか、使者を遣わすしかありませんでした。やがて郵便が手紙を運んでくれるようになり、電報や電話が生まれ、さらには電子メール、TwitterやFacebookと、人と人を結ぶ技術は発展していきました。

これによって僕らは人間としての限界を突破し、常に多くの友人とつながっていられるようになりました。Facebookユーザーの平均「友だち」数は、世界平均が130人、日本では108人だというニュースがありました。もしコンピューターネットワークがなかったら、100人の友人を持てる人がどれだけいるでしょうか。

しかしJonah Lehrer氏の記事では、どんなに熱心なFacebookユーザーであったとしても、信頼を寄せる親しい友人の数は数人に限られ、これはFacebookがなかった時代とちっとも変わっていないことを指摘しています。

「情報伝送のコストが非常に低くなっているため、われわれはより多くの知人と接触するようになっている。しかしそれは、われわれがよりたくさんの友人を持っているということを意味するわけではない」

技術革新は(親密さを築く)人間の能力を拡大するには至っていない、ということなのでしょう。

12月22日(木)
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