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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■ストレスと食べること
突然の話で中国に出張に行っていたので「家路」はほったらかしでした。
なにせ、電話もネットもつながらない環境だったのです(さすがに仕事用の携帯は持っていきましたが)。中国のみやげ話はブログ「家出」のほうにおいおい書くことにします。

たった一週間なのに、その間に1.5Kg体重が増えました。僕は出張に限らず遠出をすると必ず便秘をするので、1.5Kgの大部分は肥満ではなく滞留なのかもしれません。でもやっぱり数百グラムは太っていることでしょう。

僕は高ストレス環境に置かれるとよく食べるようです。なにせ、朝7時から夜11時ぐらいまで働いていました(それからホテルに帰って食事や入浴だから、仮にネット環境があってもやっぱり「家路」は放置だったでしょう)。「食べたいから」というより、食べるしか楽しみがないから食べていたようなもの。しかもたいして美味しい食事でもないのに(ブログに写真を張る予定)。

ホテルで体重計に乗りながら、ふと思い出したのが、昨年2月の奈良で行われたリカバリー・ダイナミクスの講座に、講師として呼ばれていたラリー・ゲインズ氏のことです。Joe & Charlieのビッグブックスタディの二人の片方であるジョー・マクアニー氏は既に故人ですが、ラリーさんは後継者です。その彼が、講座で余ったポテトチップスの袋をいくつか抱えて「これから宿舎の部屋に戻ってこれを食うんだ」と嬉しげに話している様子を見て、僕は内心「あららら」とちょっと残念に思ってしまったのでした。

ラリーさんは身長が高く肥えている巨漢です。アルコールもヘロインもタバコもやめた人が、しかも糖尿病で薬を飲んでいるというのに、食欲が抑えきれないとはねえ・・とすこし呆れたのです。でも「それもストレスゆえかもしれない」と思い直しました。

ラリーさんはアディクションの人相手専門のカウンセラーです。経験が長いので直接クライアントの相手をするよりも、同じ分野のカウンセラーをトレーニングしていることの方が多いはずです。しかし、カウンセラーと言っても、アディクション・カウンセラーというのは伝統的に酒や薬をやめた「当事者がやる」ことが多いのです。カウンセラーになりたい人は、すくなくとも、酒や薬をある程度やめている期間があるだけビギナーよりマシではないか・・・と思ってはいけません。大差がないどころか、なまじ素面なだけに、口がたつのでやっかいだとも言えます。

アル中・ヤク中というのは、やめて何年経とうとも「素直なよい子」にはなれないものです。この点ではアルコールや薬物のような物質依存であろうが、ギャンブルのようなプロセス依存であろうが違いはありませんし、本人・家族の区別もありません。「やることもやらないクセに、口ばっかり達者」という連中ばかりです(僕もその例外ではないけど)。

ラリーさんのストレスをおもんぱかると、食べることでのストレス発散ぐらい目くじらたてることではないかも、と思い直したのでした。

ついでにスコット・ジョンソン氏のことも思い出しました。スコットさんは両親とも依存症で、自分もアルコールとヘロインの中毒になって回復し、その後カウンセラーとして修行した後に、ベティ・フォード・センターに勤めて家族プログラムの開発をしたことで有名です。

直接お目にかかったことはないのですが、奈良ダルクで開かれているカウンセラー講座のために長期滞在しており、その様子をちょこっと小耳に挟みました。糖尿病であることも、食べるのが好きなことも、そして太っていることもラリーさんと同じであります。

そういえば、セレニティー・パーク(ラリーさんの施設)の写真を見せて頂いたとき、スタッフの人の巨躯に驚いた記憶があります。「巨体」というのは一流のアディクション・カウンセラーになるためには避けて通れない道だったりしてね。

僕はアディクション・カウンセラーへの道を歩んでいるわけではありませんが、なぜか体重は増加一辺倒です。なんとかしなくては。

03月05日(土)
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