ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■セルマンの関係把握の5段階
ロバート・セルマン(Robert Selman)の Five Stages of Perspective Taking というのを取り上げます。

Perspective Taking というのは「他の人が何を考え、感じているかを想像する能力」であり、自己発達、他者の理解や社会スキルを促すものだそうです。

まずはこれの翻訳を
http://everything2.com/title/Selman%2527s+Five+Stages+of+Perspective+Taking

とても小さい子供は、自分以外の人が自分とは違った経験や感情を持つことを理解していません。けれど Perspective Taking (関係把握)の能力は成長とともに発達し、成人になると洗練されたものとなります。精神分析医のロバート・セルマンは、この関係把握の能力の獲得を5段階に分けて記述しました。

こんな状況を考えてみてください。

ホリー(Holly)は木登りが大好きな8歳の女の子です。彼女は近所では一番木登りが上手です。ある日彼女が木に登っていると、一番下の枝から落ちてしまいましたが、ケガはしませんでした。しかし彼女が落ちるところを見ていた父親はびっくりしてしまい、彼女に「もう二度と木に登らないように約束しなさい」と言い、ホリーは約束しました。

別の日、ホリーは友だちのシーン(Sean)と遊んでいると、シーンの子猫が木に登って降りられなくなってしまいました。いますぐ何とかしないと子猫が木から落ちてしまいます。子猫のいる高さまで登れて、子猫を降ろせるのはホリーだけです。でもホリーは父親との約束も憶えています。

子供たちにこの状況を提示して、「ホリーが木に登ったら叱られると思うか?」「お父さんはホリーが木に登ったことを許してくれると思うか?」「ホリーがなぜ迷っているかシーンにわかるか?」と質問してみると、子供たちの年齢によって答えが違ってきます。

0) Undifferentiated perspective-taking (3〜6才)
自分と他人が異なる考え、感情を持っているということを理解するがしばしば混同する。

この年齢の子供たちは、ホリーは子猫にケガをしてほしくないので、彼女は子猫を助けると予測します。そして父親も木登りについて、ホリーと同じように感じてくれると信じます。「だって、お父さんも子猫が大好きだもの」

1) Social-informational perspective-taking (5〜9才)
人々は異なった情報を得ているために、異なった視点が生じるということに気づく。

この年齢の子供たちに「ホリーのお父さんは、ホリーが木登りしているところを見たらどうするでしょう?」と尋ねると、こう答えます。「もし子猫のことを知らなかったら、お父さんは怒るでしょう。でも、ホリーが子猫をお父さんに見せたら、気を変えてくれるわ」

2) Self-reflective perspective-taking (7〜12才)
他の人の立場に立ってみたり、自分の考えや感情や行動を他人の視点から見ることができるようになる。また他の人も同じことができることを理解する。

この年齢の子供たちに「ホリーは自分がお父さんに叱られると思っているか?」と尋ねると、「いいえ(ホリーは自分が叱られるとは思わない)。だって、木に登った理由をお父さんは分かってくれるもの」と答えるでしょう。お父さんにはホリーの立場に立って考える能力があるので、なぜ子猫を助けようとしたか分かり、そのことがホリーの視点に影響を与えるだろう、という前提がこの答えに含まれています。

3) Third-party perspective-taking (10〜15才)
2者の状況から離れ自分の考えや感情が公平な第三者の視点からどう見られているかを想像できるようになる。

この年齢の子供たちに「ホリーは叱られるか?」と尋ねると、こう答えます。「叱られない。ホリーにとっては子猫を助けることが大事。でも、お父さんが木に登ってはいけないと言ったことも憶えている。だから、お父さんに木に登った理由を説明できれば叱られないだろう、って考えるはず」 この答えは、眼前の状況から離れ、ホリーと父親両方の視点を同時に捉えています。

4) Societal perspective-taking (14才〜成人)

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01月21日(金)
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