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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■発達障害について(その7)
カナー自閉症の8割には知的障害があります。しかし、本当に知能が低いのかどうかは疑問が残ります。「状態としての知能」が低いのは言語とコミュニケーションの障害に阻まれて能力が発揮できないためで、「素質としての知能」はもっと高いのではないかと思わせるエピソードも紹介されています。
子供は想像力が豊かで、丸めた新聞紙をボールやバットや刀や拳銃など、様々なものに見立てて遊ぶことが出来ます。自閉症児は現実にとらわれるためこれが苦手です。ルールを守ることは得意なのですが、ルールを逸脱して自由な発想をすることができません。(視点を変えて相手の気持ちをくみ取るのが苦手なのもうなずける話です)。
そのかわり「こだわり行動」を示します。同じ動作を続ける自己刺激行動、好きな趣味に没頭する興味の限定、学校や買い物に行く道順やものの置き方などへ強いこだわりを見せます。例えば、本棚に本を並べる順序にこだわり、他の並べ方をすると怒ります。人の気持ちや場の雰囲気を読む力の弱さに加えて、自分の興味やこだわりを優先し人に強要してしまうため、対人関係のトラブル(子供同士であればイジメ)に発展しがちです。
心の理論のところでふれましたが、過去の記憶と現在の事実を区別する能力が低いことと、おまけに記憶力が良いため、頻繁に過去の記憶を再体験するフラッシュバックを起こします。何年も前にいじめられた体験を思い出し、それを現在と区別できないため、相手に仕返しをしてしまったり、あるいは小さい頃に社会適応させようと無理な訓練を強いられた記憶が蘇ってパニックに陥るケースもあるそうです。
知覚過敏性とフラッシュバックが結びつくと、些細な刺激で過去を思いだしパニックを起こすようになってしまいます。カナー自閉症にしても、アスペルガー症候群にしても、イジメからの保護が課題となります。
知的障害のある広汎性発達障害(カナー自閉症)の出現率は0.6〜0.8%。一方、高機能広汎性発達障害(アスペルガー)の出現率は最も新しい調査では1.5%だといいます。
自閉症は、社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害(それに基づく行動の障害)の3つの症状です。アスペルガー症候群は基本的にこの3つの症状を持ちつつ、コミュニケーションの障害が軽微なものです。言語の遅れがなく、知的にも正常が多くなります。カナー自閉症のうち知的障害を持たない高機能グループと、アスペルガーとの違いは発語の遅れがあるかどうかで、質的な差はないとされます。
いつだったか、施設に入っているカナー自閉症の中年男性が、酒を手に入れて飲むようになって依存症を疑われ、精神病院に送られて、そこからAAに来たことがありました。女性の看護師の同伴で、言葉はしゃべらず、一回だけの参加でした。おそらく病院側のアリバイ作りのような参加だったのでしょう。
このような例外を除けば、知的障害を持った自閉症の人がAAにやってくることは、まずないだろうと思われます。自助グループの人間が出会うのは、アスペルガーを含む高機能PDDのグループでしょう。というわけで、次からは本題のアスペルガーについて書いていきます。実はこれまでのすべてはアスペルガーを書くための前ふりでした。
知的には正常、時にはもっと高い知能を持ち、コミュニケーションに問題はないながらも、社会性や想像力に障害を持ち、曖昧で大まかな概念が把握できず、場の雰囲気や相手の気持ちが読めず、一度に一つのことしかできず、融通が利かなくて他の視点が持てず、話をしているとこちらが疲れてしまう人たちについてです。
(続くとも、もちろん)
01月08日(金)
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