ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■依存と乱用の分離と統合
1964年のWHOの依存の概念は、嗜癖であるかどうかを問うていません。WHOが「アルコール関連問題」と呼ぶものには依存も乱用も含まれます。そもそもアルコホリズムという言葉は、主にアルコールの嗜癖を指しているものの、依存や嗜癖でないものも含んでいます。このように、問題全体を包括して扱おうとする動きがあります。

その逆に、嗜癖と習慣を分けたり、依存と乱用を分けたり、あるいは「本物の」アルコホーリクと大酒飲みを分けたり・・と、間に線引きをしようとする動きがあります。

これまでの動きを見ると、この二つの動きが押し合ってバランスを取り、時計の振り子が振れるように右へ左へと動いてきました。DSM-5を見る限り、今は包括概念のほうへと振り子が傾いているようです。ICD-11への改版作業は2015年まで続けられるそうですが、おそらくDSM-5から大きな影響を受けるでしょう。

これからは依存と乱用の区別が曖昧になり、物質依存(アルコールを含む薬物)とプロセス依存(ギャンブル)を統合して扱う時代に入る・・・というのが一つの予想です。

10月31日(木)
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