ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■回復施設について
なぜあの時代に、あれほどまでに苛烈なマック排除運動が行われたのか。「そうしなければならないほど、マックの影響は大きかった」というのがその理由でしょう。それほどまでの排除を行わなければ、施設の影響を拭い去ることができないと考えられた。伝統3の重要性がわかる事例です。
それでもAAは、施設の影響から脱することができて良かったと言えます。日本のAA以外の12ステップグループには、施設との関係を断ち切れていないところもあります。グループとしての独立が今後の課題となっていくでしょうが、AAの経験はそれには痛みが伴うことを示しています。
参考
バック・ツー・ベーシックス騒動(その3)
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=19200&pg=20120412
バック・ツー・ベーシックス騒動(その4)
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=19200&pg=20120415
僕が酒をやめたころ、長野県内には回復施設はありませんでした。10年ほど前にダルクが誕生しましたが、AAの側にかなり強い拒絶反応が起きました。それは施設の必要性が十分理解されていなかったからでしょう。
施設を利用することなく、医療機関からグループにつながって酒をやめていった人には、施設の必要性は感じにくいものなのでしょう(僕もそうでしたし)。
施設の必要性というのは、言い換えれば「施設の良いところ」ということになりますが、良い点の一つは「基本的な生活習慣が身につく」ということです。
基本的な生活習慣とは何か。それは、毎日規則正しい生活をすること(起きる時間、寝る時間)。規則正しく三度の食事をする。洗顔・歯磨き・入浴して体を清潔に保つ。洗濯や掃除やごみ捨てなど、身の回りの清潔を保つこと。干した洗濯物をたたむとか、自炊するとか。
意外とこうした基本的な生活ができない人が多いのです。自分ではできるつもりでいても、実は同居者が代行している場合が多く、飲酒が原因で家族を失うと、身辺自立ができなくて困窮することも珍しくありません。
被虐待児や発達障害が原因で親による養育が困難な子供を預かる施設の人に聞いたことがあります。特別な養育をするのではなく、暖かい食事、清潔な服など、そうした基本的な生活の面倒を見ることで、子供たちの精神状態は見違えるほど変わるのだそうです。(そうしてせっかく良くなっても、親元に戻すと生活が乱れて元に戻っちゃうのもよくある話)。できることは自分でやらせることが大事で、中学生くらいの子供が、自分の服を洗濯して干してたたんでいたりするのは、今の世の中からすればちょっと可哀想ではあるのですが、それが自立の第一歩でもある、という話でした。
アディクションの施設も同じことです。ただ利用者は基本的に大人ですから、自分でできることは自分でするようにするわけですが。
せっかく酒をやめていても、寝る時間・起きる時間のリズムが崩れていたり、食事を食べたり食べなかったり、入浴や歯磨きをサボりがちで、部屋はごみが散乱して異臭を放っているようでは、精神状態も向上せず、質の良いソブラエティは望めません。仕事に就く(経済的自立)の前に、身辺の自立からです。
家族を失ったことを契機にソブラエティが崩れる(再飲酒)ケースでは、喪失の悲しみが原因とされることが多いのですが、実は身辺の面倒を見てくれる人を失った影響だったりします。(年老いて妻に先立たれたダンナさんはかなり大変なようで)。
集団生活で「自由が利かない」ことを理由に施設利用を嫌う人もいますが、勝手気ままにしていたら生活習慣は身につかないのですから、こればかりは致し方ない。
これは入所型の施設の場合で、通所型(デイケア)の場合には基本的な生活習慣が身についていることが前提です。そうでなければ通所が続けられません。通所が続けられないようなら、入所型施設に移ることを考えることになるのでしょう。
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03月05日(火)
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