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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■本人だけの集まりの欠点
同じ事は性別を引っ繰り返しても起こることだと思います。(奥さんがアル中で、旦那が家族として例会出席)。ただ、僕の周りの断酒会には女性のアルコホーリックの姿はほとんどないので、見てきた話としては言えないのが残念なところです。
日本のAAではこのような仕組みがなかなか働いてくれません。家族の立場からの視点は、時に本人にとって批判的に感じられます。そういう自分とって厳しいことを受け止めていく機会が与えられないまま、AAメンバーは酒をやめていきます。本人たちしかいない環境で、同調圧力や共感がお互いに甘えを許す方向に働いていきます。だから、やや甘えた、脆弱な回復になってしまいます。AAで何年も酒をやめた人が、ちょっと厳しいことを人に言われたり、難しい立場に追い込まれただけで、他罰的な恨みがましい感情をずっと引きずったりするような、面倒くさい人のままだったりします。
AAでも、オープンの会場に家族が何人も来るようなグループでは、やや断酒会に近い好循環が起きていることもあります。だが、そういう会場は「あそこには家族が来る」と言って、一部のAAメンバーからは忌避されます。(そういうこと言っているからダメなんだけど)。また、断酒会でも家族の出席が少なく、本人主体の会になってしまうと、AAと同じ傾向になるようですね。
アメリカでAAが始まった頃は、本人も家族も一緒にやっていたものが、なぜAAは本人だけのグループにしたのか。その事情はAAノパンフレット『アルコール以外の問題』に書かれているので、ここでは繰り返しません。ただ、アメリカのAAとアラノンは別団体であるにしても、日本よりずっと近しい関係だと聞いています。イベントにはお互いのスピーカーを招き合うので、AAメンバーが家族の話を聞く機会も多く、普段のミーティングも同じ建物の別の部屋でやって、終了後のアフターは一緒に過ごすというのも珍しくないのだとか。
日本のAAとアラノンが、どうしてこんなに冷たい間柄になってしまったのか。今さら昔の話を蒸し返しても仕方ありませんが、一部の人たちの確執が、AAとアラノンの分断を招いてしまい、関係が修復されないまま現在に至っています。その分断は、AAメンバー一人ひとりの回復にとって、明らかにマイナスでした。残念なことです。できれば、今後数年間の間に、少しでも関係改善が図れれば良いのですが。
それはともかくとして、AAのミーティングだけにしか出ていないと見えてこないものがあります。少しでも興味があるなら、断酒会の例会に出てみることを勧めます。慣れない人は驚くことも多いかも知れませんが、あなたの心が開かれていれば、足を運ぶだけの価値はあると思います。
(もちろん、それは逆にも言えます。断酒会の人も、興味があったらAAのミーティングに足を運んでみていただきたい。あなたの心が開かれていれば、きっと得るものがあるはずです)。
私たちは他者を通じて自分の姿を見るのです。
10月02日(火)
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