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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■サービス
グループ数は増え、AAメンバーの数も増えているはずなのに、サービスの人手不足・人材不足は変わりません。これはどうしたことか。「タダでもらったものはタダで返せ」とか「最近のメンバーは感謝が足りない」と嘆く古株もいます。日本のAAメンバーは、自分が飲まないだけで満足し、他の人の手助けをする美徳を失ってしまったのでしょうか。
僕は「サービス活動に参加することの素晴らしさ」を訴えるだけでは、この状況は打破できないと考えています。問題はもっと根源的なところにある、と。
今は使われなくなったAAの丸と三角のシンボル。その三角形の各辺には、回復・一体性・サービスの言葉があてられています。そして、三角形の底辺にあるのは「回復」です。回復が一体性とサービスを支えているのです。回復あってこその一体性、回復あってこそのサービスです。
日本のAA共同体でサービスの力が弱まっているのは、実は12ステップの力が弱まったことの表れです。AAグループ数、AAメンバー数は増えていても、ステップによる回復を経ていないメンバーが増えなければ、サービスはいつも人不足のままでしょう。
ジョー・マキューの本には、「人は霊的目覚めを体験すると、それを他の人に伝えたくなる」とあります。これはたまたまジョーの本の言葉ですが、ジョーだけでなく、12ステップを経験した多くのメンバーの実感です。
感謝ってのは言われてするものじゃない。内側から勝手にわき出るものです。スピリチュアルな回復を経験した人が、それを新しい人に伝えて手助けしたいと思うのは当然のことです。そうして自分の周りの人への奉仕をするうちに、それだけでは足りないことに気づき、グループを越えて「(いわゆる)サービス活動」に参加していくのが本筋でしょう。
ジョーの本には、人に「生き方」を伝え教えることは手間がかかるので、つい人は「ルール」を作って人に押しつけることで済まそうとする、とあります。しかし、ルールを作ったところで、人がそこから逸脱することは避けられません。刑罰をいくら厳しくしても、刑務所に入る人はなくならないのです。ルールではなく、生き方を教える必要がある。それが子供のしつけであり、また本来の教育の姿です。そして、12ステップはもちろんルールではなく生き方です。
最近、日本のAAの様々なレベルで出てくる議題や話題は「ルール作り」に関するものが増えているのじゃないでしょうか。それもまた、12ステップの力が弱まっていることの表れであると感じています。
どうすればいいのか? もちろん、答えはシンプルなものです。
05月07日(月)
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