ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■原発と霊性
福島第一原発では、非常用のディーゼル発電機が二系統とも原子炉の海側に設置されていて、両方とも津波で破壊されました(燃料タンクも津波でさらわれた)。信じられない設計です。片方を山の上に設置するぐらい誰でも思いつきます。外部電源も二系統用意されていたのに、直近の鉄塔が倒壊したために両方失われました。どちらも原子力の問題とは言えません。原子力の専門家ばっかり集まってやっているから、こういうマヌケなことが起こるのです。しかし、そういうオープンな議論ができる下地ができていないことが背景にあります。

原発は危険なものです。そのことは現在多くの人たちが生で感じ取っています(その生々しさは交通事故で親しい人を亡くした人の感じ方と同様です)。一方で、自動車同様に原発も現在の僕らの生活に必要なものです。東京電力の原発依存度はたかだか2割ほどですが、その2/3が止まっただけでこの騒ぎです。関西電力は5割(その原発は大阪京都奈良神戸から100Km以内にあったりする)、九州や北海道でも4割です。関東では電力不足で夏のエアコン使用を遠慮しなければならず、経済活動の停滞で今年のGDPはマイナス成長になるという予測もあります。就職戦線はいままで以上の氷河期となるでしょう。僕らは原発がない生活を次第に生で感じ取りつつあります。

ビル・Wは「アルコホリズムで死ぬ人をゼロにする」という目標を掲げませんでした。なぜならそれは現実的ではないからです。そのかわり、一人でも多くのアルコホーリクを助けるという理念を掲げました。霊性とはそういうものでありましょう。

「私たちの頭が神と共に雲の上にあったとしても、両足はしっかりと大地に着いていることを、神は望んでいるのだと、私たちは信じるようになった。それこそが私たちと仲間のいるところ、私たちの活動が行われるべき場所である。それが私たちにとっての現実なのだ」(AA p.189)

04月08日(金)
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