ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■京都でのシンポジウムの感想
ところが発達障害を抱えた人の場合、アルコールやギャンブルの問題を抱えると、短期間でそれが大きなトラブルに発展し、仕事=収入が維持できなくなってしまいます。若者の中にはまったく就労体験を持たない人もいます。こういう人の場合、本格的な重症の依存に発展するほど長くアルコールやギャンブルを続けることができないわけです。

成人の発達障害はいままでずっと見落とされ続けてきました。現在でもそれが診断できる医者は多くありません。しかし、アルコールやギャンブルの乱用を抱える人はいっぱいいます。そして「依存症は病気だ」という知識だけがいままで広がり続けてきました。そうして操作的な診断基準が適用された結果、アルコールの乱用があればすなわちアルコール依存症、ギャンブルの乱用があればすなわちギャンブル依存症、という判断が乱発されるのに至ったわけです。

つまり、問題はアディクションではなく、発達障害ゆえにアルコールやギャンブルの問題をかかえ、機械的な診断基準が原因で依存症と診断され、依存症の治療を受けて、依存症の自助グループに送り込まれてくる人が、たくさん存在している(少なくともそう考えている人たちがいる)、というわけです。

もちろんこの文章は問題を単純化しています。それぞれ典型的でないタイプもいるでしょうし、発達障害タイプ・アディクションタイプと二つにきれいに分けられるものでもなく、中間タイプや重複タイプもいるでしょう。話を元に戻します。

アルコールやギャンブルだけが問題だというのなら、その問題が取り除かれれば、再び働けるようになって良いはずです。しかし、1年2年と続けてもなかなかその状態にたどり着けない人がいます。若い頃からアディクションにハマって経験不足があるにしても、しらふになれば遅まきながら経験を積めるようになるはずです。ところが就労が安定しなかったり、まったく未就労の人たちがいるのはどうしてか。その背景には、発達障害の問題があるのではないでしょうか?

だとすれば、アディクションの問題だけを抱えた人の為にデザインされた回復プログラム(断酒例会とか12ステップ)が、有効に働かなかったとしても不思議ではありません。別の支援が必要なのです。

実際にそうした支援を行っている人たちの話が聞けたのは、とてもよい経験でした。

掲示板でのやりとりのなかで、依存症の早期発見が解決に結びついていないという話がありました。その話は再発に関してのものでしたが、再発なしでも社会復帰(就労など)の問題を抱えている人のことにもつながります。本来だったら早期発見・早期治療によって、軽症の人たちが断酒できたのであれば、社会復帰だってスムーズにいっていいはずなのです。しかしそうならないケースが多い。発達障害概念の導入は、その問題に光を当てるはずです。

スポンシーが就職に失敗しても、「まだ回復が足りなかった、仕事をするには早すぎたんだ」で済ませるのは、あまりに無策ではないかと思うようになりました。

12月21日(火)
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