ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■アルコール依存症者全体の自閉症スペクトラム指数...
アディクションのケア(たとえば12ステップとか断酒例会)によって、アディクション由来の部分は(時間はかかるものの)修正されていくでしょう。しかし、発達障害由来の部分はアディクションのケアでは修正がききません。おそらく、依存症の人の症状には、アディクション的な要素と発達障害由来の要素が入り交じっているはずで、その中で発達障害の割合が多い人たちが、グループの中で「回復が遅い」とか「何年経っても回復しない」というレッテルを貼られている、とするならずいぶんとヒドい話です。

仮に、アディクションを扱う側が、発達障害の問題を区別できたとしても、成人の発達障害への取り組みは始まったばかりで使える社会資源が少ない、という問題があります。

ポスターセッションの発表の後に質疑応答の時間があったので尋ねてみました。テストを行った本人に結果は知らせたそうですが、点数が高い人にも発達障害の診断は行っていないというのです。大人の発達障害の診断を行える機関が近くにないこと。診断には育成歴を調査する必要があるのにすでに親が亡くなっている単身者が多いこと。さらには、診断がついても発達障害のケアができる施設が近隣にないというのも、その理由だそうです。

社会全体で発達障害が増えているのか、それは別に書くとして、依存症という人の中に、問題のほとんどが発達障害由来である人がたくさんいるはずです。また、中には依存症ではないのに、発達障害とアディクションの症状の類似性から、依存症と診断されてしまった人もいるはずです。それは、アルコールやギャンブルの乱用を症状だけ見て、操作的診断基準に当てはめて診断した結果でしょう。

とはいうものの、依存症と発達障害の関連については、まだまだ知見が少なく、確定的なことが言えない状況です。

08月02日(月)
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