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たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■というわけで共依存について
旦那(本人)も、奥さん(家族)も、依存の対象が違うだけで、同じ依存症です。だから、同じ治療モデルを使えばいいのです。まず教育(知識)が必要だし、急性期治療が必要なら病院に行けばいい。その上で慢性期には12ステップグループなり断酒会なりの自助グループに通ってもらって、そこの治療モデルを使ってもらう。自助グループの守備範囲外(健康や法律など)は専門家の手を借りればいい。これは本人も家族も同じです。

本人と家族を同じように「病んだ人」と見ることで、問題はシンプルになり、解決可能になります。なぜ、断酒会という一つの場所で、本人も家族も回復するのか。なぜ本人のグループと家族のグループが同じ12ステップを使っているのか。考えてみれば当然のことで、問題が同じだからこそ、解決方法も同じで良いのです。

アル中と暮らしているから(旦那が依存症だから)といって、家族が共依存とは限らない、という意見もあるでしょう。もちろん、それはそのとおりです。大酒飲み全員がアル中とは限らないのと同じです。やめようと思えばいつでもやめられる大酒飲みは、たくさんいる・・・はずなのです。

AAメンバーの多くは、初めてAAにやってきた頃は、自分がそれほどひどい酒飲みではないし、やめようと思えばいつでもやめられるし、やめるときは自分一人でやめられる、と思っていました。けれどAAに通い続けて、そうではないことに気づき、助力を得て問題を解決することができたのです。もし、孤独に飲み続けていたなら、当時の信念を今でも貫いていたことでしょう。

回復した人の多くは、自分が依存症になる前から「依存になりやすい何らかの素質」を持っていたことに気づきます(素質ではなく才能と言っても良い)。アルコールやギャンブルという依存対象と出会ってその才能が開花し、激しく発症したのです。共依存の人も同じように素質を抱えていて、それが依存症者との生活という環境と出会って「激しく発症」したのです。

子供の立場の人からすれば、「飲んでいるお父さんはヘンだけれど、しらふのはずのお母さんは、お父さんと同じぐらい(いやそれ以上に)ヘンだ」というわけです。だってそれは夫婦が同じ問題を抱えているのですから当然です。

共依存というのはなかなか理解されていない問題です。なかでも最も理解されていない点は、それが依存症そのもの(他の依存症と同じ)であるということです。

この文章を書くに当たっては、某ダルクのスタッフの文章を下敷きにさせて頂きました。許可は取っていませんが、笑って許してもらえると信じております。いつもありがとうございます。

06月11日(金)
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