ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■mil 「底つき体験」に関する誤解
自分のやり方にとことんこだわると、社会的に落ちぶれたり、大きなトラブルを起こしたりします。酒のせいでいろいろなものが損なわれないうちに回復につなげることを、底つきの底を浅くする=底上げと呼びます。なるべく失うものが少ないうちに回復したほうが良いに決まっています。依存症のケアに携わる人たちの間で「底上げ」がずっと言われ続けています。

しかしそもそも「底つき」が誤解されているために、「底上げ」に何が必要なのかも誤解されています。自己流の断酒を応援し、それをサポートすることが底上げにつながるのではありません。それは病気の進行を遅らせているだけで、アル中さんをより回復が困難な道へ誘導してしまうことになります。良かれと思って間違った手助けをしている点では共依存とちょっと構図が似ています。さすがに、早めに自力断酒を失敗させるために再飲酒の罠を仕掛けろ、とは言いませんが、失敗(再飲酒)の機会を捉えて自己流を諦めさせるのが「底上げ」への最短路です。

依存症の早期発見・早期治療が進んできましたが、それが必ずしも「底上げ」につながっていないのは、こうした事情があるからでしょう。

03月20日(土)
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