ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■10 years ago (6) 〜 手遅れだと言われても、口笛...
これから入院したのでは結婚式に間に合わない。だから、もう一つの方法を試してみるほかないだろうということになりました。そうか今日はミーティングの日ではないかと突然気づき、夕方になるのを待って、母は僕を車の助手席に積んでミーティング場へと向かいました。
一つ大きな問題があるとしたら、それは僕がぐてんぐてんに酔っぱらっていて、どんな空間もあっという間に酒臭くしてしまうほど、呼気にはアルコールが含まれていたことでした。

僕が途中で寝てしまったせいで、母は道に迷い、会場についたときにはミーティングはもう始まっていました。みんなはすぐに僕の状態に気づいたのですが、誰もそれをとがめませんでした。狭い部屋はあっという間に酒臭くなってしまいました。
何となく皆の話が「僕に聞かせるためのミーティング」になっていったような気がしますが、頭がもうろうとして、皆がどんな話をしたかまったく覚えていません。

最後に、僕が話す番になりました。
僕は問いかけました。ろれつが回っていませんでした。

「人間は、何のために生きているのですか?」
「人生の意味って、生きていく意味って何ですか?」
「どうしてこんなに苦しいのに、生きて行かなくちゃいけないんですか?」
「死のうとしても死ねない、生きようとしても生きられない、いったいどうしたらいいんですか?」
「いつか死んでしまうのに、どうして生きていくのですか?」
「何のために生まれてきたのですか?」

どうして僕の人生はこんなに苦しいのか、そしてそんなに苦しいのになぜ生き続けなければならないのか、どんなに考えても答えは見つかりませんでしたし、誰も納得できる答えをくれはしませんでした。モンティ・パイソンの映画のように、誰も答えられはしないんだと思っていました。

僕は皆の答えを待って黙りました。誰も答えてはくれませんでした。無言のまま、何分間かが過ぎていきました。

沈黙を破ったのは、この会場を借りている教会の信者で、腰が悪いために自力ではミーティングに来られず、会場チェアマンが送迎しているという老人でした。家族をなくし、糖尿病を患って自炊で苦労し、ミーティングではもっぱら聞き役で、しゃべることの少ない人でした。その人がしゃべると言うだけで驚きでした。

(続く)

10月14日(金)
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