ID:19200
たったひとつの冴えないやりかた
by アル中のひいらぎ
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■10 years ago (2) 〜 手遅れだと言われても、口笛...
さて、何事もそう順調でないのは良くある話です。生産材の納入業者が長野と秋田では違うわけであります。そうすると生産設備に投入する材料も微妙に異なって、そのほんのわずかな違いのおかげで、機械が順調に動いてくれないという「良くあるパターン」にはまることになりました。
僕以外の3人は調整作業に忙しく働いていたのですが、僕は手持ちぶさたに工場の中をぶらぶら歩き回っていました。
「先に帰っていてもいいよ」と声をかけてくれたのですが、この3人に晩飯を食わせるというのも仕事のうちであります。待っていると調整が終わったのが、夜の2時半でありました。
夕食は一日前と同じ居酒屋に落ち着きました。
「俺たちは、どんなに遅くなっても一杯やる」というのが彼らのポリシーでありました。(他にも「禁煙車では移動しない」というポリシーもありました)。
そして僕は、酒にありつけさえすれば、何でも良かったのです。
翌朝、予定通り僕はホテルに置き去りにされ、タクシーで工場に駆けつけたのはお昼頃でした。機械は順調に動き始めていました。
「もう帰っていいよ」
と言われて、一日早く予定を切り上げて、一人先に帰ることになりました。
下請けの社長に角館の名所に寄ってから駅まで送ってもらいました。帰りの切符を買っても、まだ十数万円が僕の財布の中に残っていました。
内容的にはさんざんでしたが、一日早く帰れるのはうれしくてたまりませんでした。
サントリー・オールドの水割りの缶をいくつか買い込むと、秋の陽に照らされる東北の風景を見ながらちびりちびりと飲みました。なんだか多幸感につつまれて、何もかもがうまくいくような気がしたものです。
盛岡で新幹線に乗り換えるまでは、何の問題もありませんでした。仙台までは乗客も少なく、マンガ雑誌を読みながらゆったりと時間を過ごしていきました。
(明日へ続く)
09月12日(月)
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