ID:1488
頑張る40代!plus
by しろげしんた
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■懐古
今日から『起業祭』が始まった。
いちおう北九州では秋の風物詩となっている。
元々は官営八幡製鉄所の創業を記念した製鉄所の祭だったのだが、いつからか製鉄所の手を離れ、市民の祭となった。
そのため元々は製鉄創業の日である11月18日を中心とした三日間に行われていたものが、文化の日を利用して行われるようになった。

ぼくが子どもの頃は、その創業日である18日は学校が休みになっていた。
「明日は起業祭で学校は休みです。必ず保護者の方と出かけるようにしてください。決して友だち同士で行くことのないように」
毎年その前日の全校放送で、先生はこんなことを言っていたものだ。

その頃の祭は、見せ物小屋や出店がたくさん出て、かなりの賑わいだった。
見せ物小屋はサーカス、モーターショー、お化け屋敷が中心で、メインステージでは有名な歌手のコンサートも行われていた。
また出店のほうは、かなりの広範囲でやっていた。
ぎっしりと沿道を飾る出店には夢があった。

さて、今日久しぶりにその起業祭に行ってきた。
別に行きたくはなかったのだが、うちは八幡製鉄所の遺族会に入っているため、毎年慰霊祭に呼ばれている。
これまでは母が行っていたが、今回は母の都合が悪く、ぼくが行くことになったわけだ。

その慰霊祭だが、昔に比べると規模が小さくなった。
以前は2時間の式典で、近郊の神主と僧侶が毎年交代して慰霊を行っていた。
ところが、最近はそこまで長くやらないようだ。
今日の式典時間は1時間だった。
神主や僧侶は来ず、祝詞やお経の代わりにキーボード奏者の暗い演奏が行われていた。
その合間に、新日鐵の業績の報告などが行われ、最後に献花で締めくくられた。

昔は「ご起立下さい」「黙祷して下さい」「ご着席下さい」と繰り返しやっていたが、そういうのもなくなったようだ。
また、慰霊祭特有とも言えるナフタリンの臭いもなくなっていた。
以前、多くの遺族は礼服や紋付きなどで来ていたために、そういう臭いが会場に立ちこめていた。
最近は、みなラフな格好で来ているようだから、そういう臭いもなくなったのだろう。

さて、祭の方だが、これがまた昔と比べると閑散としたものだった。
まあ、初日の午前中だったから人出が少ないのはわかるが、出店の数がえらく減っていたのだ。
以前は所狭しと出店が軒を連ねていたものだが、今日は出店と出店の間には多々隙間があった。

イベントのほうも、パンフレットを見ると、カラオケ大会なんかが中心で、えらく興ざめしたものに思えた。
かつては市の一大イベントであった起業祭だが、今は市民の文化祭に過ぎないのだろう。
ちょっと寂しい。
11月03日(金)
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