ID:1488
頑張る40代!plus
by しろげしんた
[218436hit]

■出張の思い出 その5
その夜、食事が終わってから、大阪を案内してもらった。
大阪の地理がまったくわからないので、どこを歩いているのかわからない。
しばらく行くと、そこに有名な風景があった。
グリコのネオン。
テレビや映画で見たことはあるが、実際に見るのは初めてだった。
有名なものを見せられると、変に感動するものである。

その後、法善寺横丁にも行った。
実に風情があっていいところだ。
ぼくは線香臭いところが好きである。
線香のにおいを嗅ぐと、何か落ち着くのだ。
東京にいる時、月一度浅草寺に行っていたのも、線香のにおいを嗅ぐためだった。
もしまた大阪来るようなことがあれば、法善寺横丁には必ず行きたいと思ったものだ。
しかし、一人では行けないだろう。
前に一度失敗しているし、その出張の時も結局は人の後ろを歩いただけだったからだ。

そういう意味では、東京の出張は楽だった。
あるメーカーさんが「今度、東京で新製品発表会をやりますので、ぜひ来て下さい」と言ってきた。
「東京のどこ?」
「新宿のセンチュリーハイヤットです。場所がわからないと思いますんで、今度地図を持ってきます」
「いや、別にいいよ」
東京の地理は、そこに住んでいた頃いつも歩き回っていたので、充分にわかっている。
『新宿』『センチュリーハイヤット』、この二つのキーワードを聞いたとたん、イメージの中ではそこに行き着いていた。

その東京出張の時は、発表会は午後2時からだったので、そんなに早く出る必要もなかった。
朝9時に家を出、バスで福岡空港に向かった。
搭乗手続きも難なく終わり、12時には東京に着いていた。
モノレールから山手線の乗り換えも慣れたものだった。
新宿駅に着いてから少し時間があったので、久しぶりに中央公園に行ってみた。
それだけ余裕があったわけだ。
東京を離れてかなりの時間がたっていたので、街の風景もかなり変わっていたのだが、戸惑うことはなかった。
やはり土地勘のあるところは違うものだ。
当たり前のことであるが、大阪で感じた地理的な苦手意識はまったくなかった。

その日の宿は、何とそのセンチュリーハイヤットだった。
25階のツインルームを一人で借り切っていた。
もちろんメーカー負担である。
一泊だったのだが、一室3万円ほどかかったと言っていた。
こんなホテルに泊まったことはそれまでもなかったし、これからもおそらくないだろう。
実際、それから3年ほどして再び東京に行ったのだが、その時はお茶の水のカプセルホテルに泊まった。
その時は1週間滞在したが、その料金は3万円ほどだった。

さて、今の会社に入ってからは出張というのがまったくない。
まあ、あっても行きたくはない。
どうせ場所は博多近辺だろうから、当然日帰りだろう。
仮に複数日の出張だったとしても通いになるから、疲れるだけである。
やはりぼくには出張なんて似合わない。
慣れた現場で客のわがままを聞いているのが、変に気を遣わなくていいぶん楽である。。
03月07日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る