ID:1488
頑張る40代!plus
by しろげしんた
[218327hit]

■太宰府
今日は節分。
明日立春から沈丁花の匂う頃までが、ぼくの一番好きな季節である。
まだまだ吹く風は冷たいが、その中に何かほの暖かいものを感じる。

毎年この時期に楽しみにしていることがある。
それは観梅である。
県内に梅の名所はいろいろあるが、その中でも一番好きな場所が太宰府天満宮だ。
境内にある「お石茶屋」で、梅を見ながらやる一杯は格別なものがある。
最近は車で行くことが多くなったので、一杯の楽しみは失われたが、それでも古い歴史を持つ太宰府で、のんびりと風流に浸れることが嬉しい。

ぼくは昔から太宰府が好きで、よく行っている。
そのせいか、いろいろな想い出を持っている。
高校2年の時につき合った人と、最初で最後のデートの場所が太宰府だった。
ただ行って帰るだけのデートで、何も面白くなかったのを覚えている。

「その日太宰府は雨の中にあった
 ただいつもと違うことは傘が二つ
 小さな梅の木はただ雨の中に
 そうやっていつも春を待つんだろう」

何となく白けたムードの中、ぼくはずっと『飛び梅』を見ていた。
そうしないとやりきれなかった。
「何でこの人とつき合ったんだろう」という思いが、ずっと心の中に渦巻いていた。

「騒ぎすぎた日々と別れるように
 今日太宰府は雨の中にあった
 もう今までようなことはないような気がする
 あるとすれば次には君がいる」

そう、バカ騒ぎしていた時期だった。
怖いもの知らずだった。
そのバカ騒ぎの延長上に彼女がいた。
しかし、彼女とつき合いだしてから、日ごと募る思いがあった。
それは、1年の頃諦めたはずの人への思いである。
つき合いは長く続かなかった。

「ここまでだよ線路の行き着いたところは。−今までは行ってみたかった
 でも何だ、このいらだたしさは。−もう自由を失ったように思えて
 ぼくは列車を乗り間違えていたらしい。−そして君も
 ここには散ったばかりの花が。そして『私は見せ物じゃないよ』って
 そうだよここまでだ。ここでゲームは終わってるんだよ

  もう帰ろうよ。さようなら」

授業中、ぼくは衝動に駆られてこんな詩を書いた。
そして休み時間、それを彼女の机の中に入れておいた。
太宰府に行ってから、2週間後のことだった。

そういえば高校3年の時も、浪人時代も、太宰府に行っている。
東京にいる時は、帰省するたびに太宰府に行っている。
こちらに帰ってからも毎年のように行っている。
考えてみると、ぼくの太宰府通いは、あのデートから始まったわけだ。
どの時期から風流を味わうようになったのかは覚えてないが、最初のデートの時でないことだけは確かだ。

さて、今年の太宰府行きはいつにしようか。
昨年行った時には、三分咲き程度だったので、今年は七,八分咲きの頃を狙って行こうと思っている。
おそらく今年は、車ではなく電車を利用して行くことになるだろう。
久しぶりに飲みたいからだ。
それまでに風邪を完全に治しておかなければならない。
それが問題である。

「悠久の 歴史を夢む 梅一輪」
おそまつ。
02月03日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る