ID:1488
頑張る40代!plus
by しろげしんた
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■ショッピング・カートの痛み
よくスーパーマーケットに行くと、ショッピング・カートが置いてある。
もちろん、うちの店にも置いてあるのだが、今日そのショッピング・カートを見て、ふと思ったことがある。
うちの店には、大・中・小と三つの種類のカートがある。
そのうち、大と中は子供を座らせることのできるタイプだ。
カゴの後部、ハンドルの下あたりに折りたたみの簡易イスがついている。
子供を乗せる場合は、その折たたみの部分を倒し、子供を後ろ向きに座らせる。
簡易イスには、うしろに倒れないように背もたれがついている。
また、ショッピング・カートから落ちないように、子供の股の部分に5cm幅のガードがついている。
子供はそのガードを股に挟んで、ショッピング・カートを押す人の前で足をぶらぶらしている格好だ。

さて、ぼくが気になったのは、子供の股の部分の5cm幅のガードだ。
女の子の場合は問題ない。
しかし、男の子の場合は問題だ。
もし、このカートが電線などを踏んだ場合のことを考えて欲しい。
電線の段差の刺激がショッピング・カートに伝わる。
当然その刺激はガードにも伝わる。
さらにガードに伝わった刺激は、股間に伝わる。
ああ、考えただけでも痛い。
よく子供は我慢できるなあ。

ぼくは小さい時から、よく股間部分を打って、死ぬ思いをしてきた人間である。
覚えているのは、小学校5年の頃、家の前の広場で野球をしていた時だった。
ぼくはその時ピッチャーをやっていたのだが、何回の守備の時だったか、相手チームのバッターが、ピッチャー返しをやってくれた。
投げた次の瞬間、その球は勢いよくぼくの玉に当たった。
内野安打である。
ぼくはタイムをとり、しばらくの間声も出ず、必死に痛みをこらえていた。
こういう時、なぜか「大丈夫か?」などと声をかける奴はいない。
決まってみんな笑うのだ。
当たったほうは死ぬ思いをしているのに、よく笑えるものだ。

プロ野球でも、キャッチャーの股間に球が当たり、苦しむ場面を目にすることがある。
トレーナーが駆けつけ手当てをしているのだが、その間ベンチは心配しているのかといえば、そうではなく、監督以下ニヤニヤと笑っている。
「あらー、球が当たった。あれ痛いんだよなあ」
などと言って、思い出話でもしているのかもしれない。

柔道に『内股』という技がある。
相手の内股を足ですくう技である。
しかし、ヘタクソな人はこの技を、股間を蹴上げる技だと思っている。
当然股間直撃である。
ぼくの相手はヘタクソしかいなかったのか、よくこの技で泣かされた。
中には、かかとで蹴上げる奴もいた。
これはたまらなかった。
内出血してしまい、1週間ほど患部は青黒くなっていた。
下着が擦っただけでも痛く、この痛みが引くまで、しばらく変な歩き方をしたものだった。

一度柔道の団体戦の時に、蹴上げられたことがある。
この時も痛かった。
審判が苦しんでいるぼくのところに寄って来た。
「大丈夫か」と聞いてくるのかと思いきや、なんと彼のはいた言葉は、「はい、飛んで」だった。
もちろん、股間を打った時は、飛ぶことがいいのはわかっている。
しかし、声も出ず、体を動かすことさえ苦痛な状況で、すぐさま飛べるものではない。
ぼくは手を上げ、「待ってくれ」というゼスチャーをし、痛みが回復するまで必死にこらえていた。
もちろん、ぼくのチームのメンバーは、笑っていた。

さて、ショッピング・カートに話を戻すが、だいたいショッピング・カートにイスをつけること自体が間違っている。
子供がいると、いろいろとわずらわしいという理由から、そういう便利なものを開発し、利用者も重宝がるのだろう。
しかし、これでは、痛みに耐える人間は育成できても、自分を守れる人間は育たない。
鍛えて鍛えられる場所ではないので、とにかくとっさによけるという反射神経を養うことが必要になる。
そのためには、子供を歩かせることが一番だ。
歩くことで、人は自ずと自分を守る術を身につける。

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10月28日(月)
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