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リュカの日記
by リュカ
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■父が亡くなった日・・・
部屋には親父の死体と俺と母親だけになった。
涙も止んで、俺は母親に「こんな時でも対人恐怖症って出るんやな・・・。××にも△△さん(弟の奥さん)にも緊張するわ・・・」と言い、母親は「大丈夫や」と言ってきた。
従兄のNも病院関係の仕事をしてるし、叔父も伯父も医者をやっているので、そのつてで親父の遺体を運ぶ車の手配やら、親父を弔う葬儀場の手配やらをやっていた。
テキパキテキパキと、みんなよくこんな冷静で居られるよな、と思った。
母親も部屋を出て行って、病室には親父と俺の2人きりになった。
俺は子供の頃、親父に対して「握手とチュー」と言って、仕事に出かけていく親父のほっぺたに毎朝のようにキスをしていた。
お別れに、親父にキスをしようかな、と思ったけど、思いとどまって辞めた。
代わりに、親父に対して「親父、ごめんな・・・。ごめんな・・・」と謝って、またまた涙が止まらなくなってしまった。
弟夫婦と母親が部屋に戻ってきた。
俺は「タバコ吸ってくるわ」と言って病室を出る。
面会時間を過ぎていたので、守衛さんに「=号室の□□の息子です。タバコを吸いたいので、開けてください」と言って、玄関の自動ドアを開けてもらった。
タバコを吸った。
コンビニでコーヒーを買った。
もう一度タバコを吸った。
コーヒーを持って病室に戻った。
弟はそこかしこに電話をしているみたいで、病室を離れてた。
俺が戻ってくると、病室には母親と△△さんだけが居て、「(親父)どうやら鼻血が出てしまって、止まらないみたいです」と言ってきて、俺は「そうですか」と返答。
親父の左の鼻の穴にはティッシュが詰められていて、そのティッシュが赤く染まってた。
俺の心臓はバクバク言ってる。
対人恐怖症による物なのか、親父の死に対する物なのか。
「こんな状況だし、多少取り乱しても大丈夫」と思っていたせいか、そこまで緊張は高まらなかった。
弟も戻ってくる。
相変わらず俺の心臓はバクバクバクバク。
母親が「(親父)すぐにも起きそうな感じするけどね」と。
俺は「さっきまで親父と普通に話してたもんな」と。
母親は「悪かったな○○、あんた帰らせへんかったらよかった。あの後すぐやったし」と。
俺は「それはしゃあないやん」と。
続けて「でも、最後に親父と話せて良かったわ」と。
親父との最後の会話は、親父が俺に「俺の読みかけの本、そっち(母親が寝る用の簡易ベッド)にないか?」と言い、俺が「あった、これやで」と手渡したのが最後だったと思う・・・
それから、俺は6時になったと言うので母親に「あんたも帰り」と言われ、「帰るわ」と親父と母親、主に母親に対して手を振った。
それが最後かな・・・
話は戻る。
それからしばらくして、親父に服を着せて、葬儀場へ行く準備をするというので、俺たちは病室を出た。
しばらくして看護師さんが「終わりました」と言うので、俺らは病室に戻った。
母親が「めっちゃ可愛くされてるやんw」と言い、△△さんが「ほんまや。きゃはは」みたいに笑った。
こんな風にきゃははなんて笑えてしまうのは、まだ△△さんには□□の義理の娘になったんだ、という感覚が浅いんだろうな、と思った。
弟も、こないだ結婚したばかりだし。
親父は顔の輪郭をなぞるように包帯?みたいな物がまかれてて、まるで笑顔になっているような感じになっていた。
俺は「ついさっきまで普通に喋れてたのにな・・・」と繰り返す。
しばらくして、弟も戻ってくる。
弟は「お父さん、抗癌剤治療始まる前に逝けてよかったかもな。苦しんだかもしれへんし」と。
弟が死亡診断書みたいな物を読んでいて、死因のところは「肺がん」となっていたそうだ。
結局、何が本当の原因だったのか謎のままだけど・・・
親父を葬儀場に連れて行く車の手配が終わったとかで、業者が親父の遺体を引き取りにくる。
病院を出る前、俺は「親父が大好きなこの△×病院で、大好きだった○×先生に看取られて幸せやったやろうな。○×先生、本当にありがとうございました・・・」と言い、先生は「いえいえ・・・、そんな・・・w」と苦笑い。
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02月22日(土)
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