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暴かれた真光日本語版
by 日記作者
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■キリストの墓の真実(16)-(18)
 …旧石器遺跡捏造事件では、自然科学の関わり方のどこに問題があったのであろうか。旧石器遺跡の発見を主張する人たちは、遺跡で製品としての石器以外に遺物が出てこないことから、石器の出土した地層のみに基づいて、それが古い年代のものであると主張していた。それに対し、これらの遺跡に関わった自然科学の研究者たちは、その地層の年代を詳細に確定することに終始してしまった。つまり、視点がまったく同じ方向を向いていたことになる。これでは、異なる分野が関与することの有効性は発揮できない。捏造発覚前から、人類学や考古学、第四紀学の研究者からは疑問の声が上がっていたのであるから、もしこれら自然科学の研究者たちがその声に耳を傾け、別の視点からの研究手段も講じていれば、あるいはもっと早く捏造を明らかにできたかも知れない。なお、地層ではなく石器そのものを分析した例もわずかながらあったものの、それらの方法は原理や解析の妥当性に疑問がもたれている。
 偽書・偽文書の真贋判定においても、通常議論されるような内容の当否、整合性の有無のみではなく、字体や文体はもちろん、モノ資料としての墨・顔料・紙などを対象とし、また贋作作りの手法に関する研究も視野に入れて、自然科学を含む他の視点からの総合的な調査が必要であろう。自然科学的方法によれば、人文科学とは異なった視点からの、客観的で有用な情報が入手できる。ただし、旧石器遺跡捏造事件でわれわれが得た教訓に基づき、適用にあたっては、調査全体の中での位置付け、目的や手法、その方法の有効性と限界などについて十分に配慮しなければならない。
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<新刊紹介>
『日本の偽書』文春新書 藤原 明 (著)2004.5初版 714円
――キリストの墓に関する解説が詳しい

11月07日(日)
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