ミドルエイジのビジネスマン
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2003年12月28日(日) 一年を振り返って

今年一年を振り返ると、仕事量としては大変な量で、忙し過ぎた一年だった。夏くらいまではまだ余裕があったが、後半はバテバテであった。質的に見ると、どうなのだろうか。もちろん手抜きはしていないが、何が起きても結果を問われる。常に謙虚に、自分たちのやった仕事のプロセスを見つめていかなければならない。

プライベートでは、長男が中学生になって部活を始めたせいか、家族単位でのイベントの楽しみは回数も減ったし、行事の繰り返しの中で喜びのレベルもそれほどではなくなってきたような気がする。家族の喜びの総和を最大化することは仕事で成果を上げるより難しいかもしれない。それは、来年の課題ということで。







2003年12月21日(日) 宮本輝再び

先週は出張で3日間大阪にいた。新幹線の中や宿泊先のホテルで読もうかと宮本輝の小説を携えた。大阪の忘年会に誘われたりして、さほど多くの時間は取れなかったのだが週末にも読み継いだ結果、短編の「泥の河」「蛍川」、さらには長編「流転の海」まで読み終えてしまった。

「流転の海」は太平洋戦争の後、昭和22年頃の大阪の話だが、その時点で50歳になっている実業家の男が登場する。戦争による若者の運命の物語や、戦後、若い人が活躍する話はたくさん読んだ覚えもあるが、この小説には大人の目から見た戦争に対する見方も描かれており、そういう面でも興味深い。大河小説のように第二部、第三部と続くようなので、年末年始のお楽しみになることだろう。

出張の後、週末に町内会活動もあって、休みが終わっても疲れが抜けない感じがする。


2003年12月14日(日) 静謐ということ

会社の研修のときに電車の中や休み時間にでも読もうと思って買った宮本輝の「錦繍(きんしゅう)」と「道頓堀川」を読み終わった。

読んでも結論の出ない純文学の小説はこのところほとんど読んでいなかったが、新聞で宮本輝の特集をしていたので目に止まり、昔「泥の河」という暗い映画を見たことを思い出し、あれもこの人が原作者だったかということで何冊か文庫本を手にしたのだった。

大阪や神戸が舞台であるにもかかわらず、騒々しさのない、不思議な静謐さに覆われた世界が展開している。主人公の周りでは人々が騒ぎまくっているのだが、なんらかの不幸を背負っている当の主人公はどんな中でも静かな心の世界を持っているかのようだ。年の瀬ということでもあるまいが、これでもか、これならどうだ、というくらい騒々しい騒ぎに巻き込まれている身としてはまるで別世界だ。

「錦繍」には大事件の後、それが当然のことのように離婚してしまった夫婦が偶然に再会し、当時とその後の10年間の真実を語り合うという物語。離れて取り返しがつかなくなって、初めて深く理解しあうことができることも実際にあるのだろうか。

参ったのは、その主人公たち、今が37歳と35歳で大部長から見れば大変若く、せっかく再会したのだからゴシャゴシャ言ってないでまたくっつけばいいじゃないかと言いたくなった。まあ、会って直ぐ再婚したのでは小説にならないか。お二人には、人生終わったようなことを言わずに、どうか力強く生きて行っていただきたい。

道頓堀川に映るネオンの景色がモチーフになっている「道頓堀川」には喫茶店に住み込んでいる孤独な学生が見る夜の街に生きる人々の姿が描かれている。オカマやお姐さんが登場してかなり騒々しいはずなのに読んでいても不思議と音が聞こえてこなかった。あの貧乏学生は、マスターの喫茶店を譲り受けていまも元気にしているだろうか。

改めて考えてみると、本を読んでも喫茶店でそれについて誰か(女性ならなお望ましいが)と語り合うなどということは、もしかしたらもう無いのかもしれない。




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