ミドルエイジのビジネスマン
DiaryINDEX|past|will
インターネットを利用して日記をつけ始めてから1年が経った。よく続いたものだと思う。
改めて読み返してみると、色々なことがあったが、総じて楽しく生きているようだ。
身の回り、すなわち会社の同僚に読者が多いのは自ら宣伝したせいだ。
中学時代の友人も一人か二人、見てくれている。高校、大学の友人にはあまり知られていない。今度の年賀状で知らせてみようか。
遠くの見知らぬ人からメールが届くかと期待したが、それは外れてしまった。忙しいビジネスマンの興味を引くには、ただの身辺雑記では力不足なのだろう。当たり前だが、そもそも、大部長の存在自体が知られていない。
多少改善した方がいいのか、継続すること自体に価値があるのか、少し考えてみることにしよう。
| 2003年07月06日(日) |
東京タワーを見下ろすレストランにて |
美しく優しい女性と、東京タワーを見下ろすレストランで秘密の愛を語り合った。いつも直接日記のページにお越しの方は、右下の「HomePage」をクリックすると衝撃の映像を見ることになる。
(エ〜、のっけから白々しいウソで始まって申し訳ありません)
まあ、美しく優しい女性と一緒ではなかったが、行ったことは行った。そして、衝撃を受けたのは大部長の方であった。
5時に待ち合わせて、超高層ビルの最上階でエレベーターを降りると目の前は真っ暗だった。きっと展望レストランがいくつかあって店を結ぶ通路で時間つぶしができるだろうと思って多少早めに着いたのだったが、案に相違して進める方向は一方しかない。
ようやく目も慣れてきて薄暗い通路から店の入口を覗くと受付があり、長身の外人女性が「オープンハゴジハンカラニナッテマス」と話しかけてきた。「ヒエーッ あのあの、イエイエまた来ます。」とほうほうの体で逃げ出して1階のロビーに避難した。
ちょうど待ち合わせの仲間が来たので今度はいかにも堂々とした態度で挑戦した。受付も無事通過し、入り口を入ると周り中が全面ガラス窓になっていて東京のすべてが見渡せる。なんとひとつの入口から中に入ると中でバーラウンジと和食とイタリアレストランとに分かれているらしい。贅沢なスペースに細長いシャンパングラスを持った日本人の男とすらっとした外人の女性が女性週刊誌のパーティ写真から抜け出てきたように自然な姿で立って談笑している。
ビルの周りを3分の1ほど回るとちょっとした段差を降りてイタリアレストランになっている。
美しい景色だ。この方面はレインボーブリッジから東京タワーまでが見渡せる。東京タワーなど遠くに見るというよりほとんど隣り合っている。おのぼりさんの地が出てデジカメで「シャ、写真を撮ってもいいですか?」とスマートなウェイターのお兄さんに聞くと「それなら、ちょっと向こうに歩けば今はやりの六本木ヒルズも見えます」と案内してくれた。おのぼりさんにも親切にしようという従業員教育がなされているのだろうか。
席に着くとお飲み物は何にしますかと聞かれる。せっかくだからワインにしようとつぶやくと、同席した人々からどよめきが起こった。こんな高級なレストランでワインを頼むなんて、身の程知らずにもホドがあるというのだろうか。あるいは、銘柄を指定して頼むくらい高い教養があることに驚いたのだろうか。が、大部長が長身でハンサムなソムリエに厳かに宣言したのは「赤ワインのほうがいいな」という一言だけだった。
最初に出てきたのは美味しいシャンパンであった。なんでも、あまり泡が出ないのが特徴の特別製だという説明があったような気がする。そうか、泡が盛大に出るほうが高級ということではないんだ。覚えておこう。
次に赤ワインが出てきたが、理解できたのはボルドーがどうしたこうしたということだけで、あとは分りましぇ〜ん。実は大部長、アルコールには強くて一杯で十分なのだが、飲みっぷりが良かったのかおのぼりさんをからかうと面白いのか、違うボルドーもありますとまた赤ワインが出てきた。確かにこちらはちと渋い。「ウ〜ン、やっぱり違いますね」と頷くと例のハンサムで長身のソムリエはにっこりと笑った。
イタリアレストランといえば、パスタたっぷりで魚介類のグラタンが出て味は大味と思っていたが、何種類かのパスタが一口ずつ皿の端に載るくらいでメインディッシュも何とか鴨とビーフが仲良く盛られた懐石風であった。ワインはもう飲めないぞと密かに思っていると、さらにデザートワインをどうぞと奨められた。余の辞書に「デザートワイン」などという文字はない。甘くて美味しいと思ったら、畏れ多くも貴腐ブドウで作ったワインなのだそうだ。あっ、そう。
という訳で、高級ワインと格闘し、美味しい食事を満喫した大部長であったが、なんといっても度肝を抜かれたのは高級な雰囲気そのものであった。暗くなると、大柄な黒人の弾くピアノに合わせてすらっとしたやはり肌の浅黒い女性が歌っている。東京タワーもライトアップに赤くくっきりと浮かび上がり、なんとも夢のような世界が東京の空の上で繰り広げられていたのであった。
大部長の後ろ、窓際のカップルは誕生日なのか、店じゅうのウェイターが集まって囲み、ケーキに挿した花火がチラチラ輝く中で上気する二人の雰囲気を歌を歌って盛り上げていた。ある人が、ここは東京ではない、マンハッタンだと言っていた。まさにそのとおりだと、酔いの回った大部長は大きく頷くのであった。
不調のモニターの代替品は電話の向こうでサービスの人が約束したとおり疾風(はやて)のようにやってきた。やれやれと思って、本体と接続してみると予想したとおり正常に機能した。ここまでは良かったのだが、念入りにドットを調べてみると、密かに恐れていた事実を発見した。1個だけ点灯しないのだ。これまで使っていたのが完全無欠であっただけにつかの間の喜びも風船のようにしぼんでいくのであった。その後に起こったことは以下のメモが代わりに語ってくれる。
「修理担当殿
同梱の液晶モニターは、送っていただいたものを一回接続した後、交換しないでそのまま送り返させていただくものです。
その間の事情は、弁解となりますが以下の通りです。
交換しようと思って送っていただいた新しいモニターを接続したところ、画面左側中央にドット抜けを1個発見しました。壊れたと思った古いモニターにはドット抜けがなく気持ちよかったので、できれば交換しないで済めばいいのだが、と思い奇跡でも祈るような気持ちで試しにもう一度接続してみたところ、何と古い方も正常に動いたのでした。
電話で、サービスの方に説明したように別のモニターを接続すれば異常がないことを確認しておりましたし、黄色いランプが点灯し、モニターに通電するのも確認していました。 したがって、古いモニター側に異常が起きたとばかり思っていたので、動いた今となっては何が原因で具合が悪かったのか不思議でなりません。信号ケーブルは両サイドを螺子でしっかり留めてありましたのではずして付け直すことまでしなかったのですが、あるいは要するに線をつなぎ直してみれば治っていたのでしょうか。
いずれにしろ、実際に元のモニターで正常に機能いたしましたので、新しいモニターをそのまま返送いたします。ただし、一回接続したので保護フィルムをはがしました。
お手数を煩わせたことをお詫びいたします。」
結局ひとり相撲を取っていただけという結果になってしまった。自分から交換しろと言ったわけではないのだが、メーカーの方に色々面倒をかけることになって反省している。この後、あの新品の液晶モニターをあてがわれることになる人は、1個くらいのドット抜けには気がつかないくらいの度量の方であることを願うことしきりである。
|