ミドルエイジのビジネスマン
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北国の山林の一角にキャンピングトレーラーが入るようにブロックを並べて、窓の明かりの向こうに後から後から舞い落ちる雪を眺めながら暖かいトレーラーの中で一杯のコーヒーを飲む。それくらいなら他の大概のものを切り捨てればできただろうに。
雪の中にテントを張ってサラサラとドームを滑り落ちる雪の音に耳を傾けながらランタンの灯を見つめる。それだけなら今年の冬にもできたかもしれない。
気がつかないうちに土曜から日曜に日付が変わった。深夜に、自分が本当にしたかったことを考えてみる。もう、3月になってしまった。
2月8日〜9日にかけて栃木県のハンターマウンテンスキー場に行ってきた。一度も行ったことがなくても塩原温泉の上にあると言えばなんとなく分ったような気になる。
年末に贅沢をしたので恒例の家族スキーをどうしようか迷っていたが、雪の大好きな次男のためにと思い、多数決を取ったら全員一致で行くことに決まった。昨年は隣のエーデルワイスに行ったので、今年は本格派と言われるハンターマウンテンに挑戦だ。
塩原温泉にリフト券セットの宿を取り、温泉宿での一泊となった。ただし、塩原温泉は周辺部に新しいホテルや趣味の良い宿ができて中心の温泉街はやや寂れているらしく、泊まった宿も時代に取り残されそうな趣きであった。お湯はやや熱めでたっぷり。日経新聞の土曜版で本物の温泉は水で薄めたり循環させたりしないものだと毎週書いてあるが、まさにそのとおりの正統派だ。温泉はたっぷりと流しっぱなしで、24時間いつでも入れるし、飲用のコップも置いてある。お父さんは5回も出たり入ったりした。
さて、ハンターマウンテンは近代的なスキーリゾートだ。スキー客よりスノーボード派のほうが多いのではないかと思う。ゴンドラで頂上まで上がり一気に滑り降りれば相当長い距離を滑ることができる。一番上は上級コースということになるがスノーボーダーが滑るので、コブはなく、斜面が急なだけなら我が家の家族も何とか滑ることができる。ここまで家族を引っ張りあげるのに何年かかったことだろう。
急な斜面はすぐ終わり、緩斜面が長く続く。いつまでもプルークボーゲンでもあるまいと昨シーズンから長男にパラレルターンを教えているので、今年も見本を見せようとその緩斜面で説明するための言葉を探しながら滑っていた何本目かで不思議な感覚のとりこになった。「足の裏で滑っている」と表現したら、お前は長嶋茂雄かと言われそうだが。
最初は「体重の移動だけで滑らかに曲がるのはスノーボードと同じ滑り方だね」などと説明していたのだが、こっちの足の内側に体重を移してなどと、足の裏に神経を集中しているうちに、まさに「足の裏で滑っている」感じになったのだ。「人馬一体」ならぬ「ジンスキー一体」というところか。
なお、上記の内容から、大部長はスキーの名人らしいという噂が立たないように注意しなければならない。その気になれば、同様にゴルフで何度も開眼した経験をつい昨日のことのように語ることもできるのだから。悪しからず。
2003年02月15日(土) |
大部長、ドットコムの手のひらで踊る |
昨年来良書に恵まれ、ピータードラッカーの「ネクストソサイエティ」、出井伸之の「非連続の時代」、ルイスガースナーの「巨象も踊る」などを選んで読んだ。
そのたびに、大部長が自分で考えたわけでもない中身をしたり顔で解説され、せっかくの昼食がまずくなった同僚も少なくないと言われている。また、選択の趣味の良さを控えめに自慢されて返答の言葉を探しあぐねた経験のある方もいよう。
つい最近、IBM社の奇跡の復活を経営者がゴーストライターも使わずに自ら描いた「巨象も踊る」を巨大組織の変革の困難さとその変革を推進するリーダーの行動論として興味深く読んだ。日本のビジネスマンが大好きな組織論にもなっている。邦訳を読むと、あまり難しそうなことは書いてないので英語でも読んでみようと、生まれて初めてアマゾンドットコムで注文した。正確に言うと、日本法人なのでアマゾンドットシーオージェーピーとなってしまい、あまりカッコよくない。原題名は「フゥ セズ エレファンツ キャント ダンス」というらしい。
他のネットの本屋さんで購入した経験もあるが、そのときは、お店まで取りに行かないと送料がかかった。アマゾンでは1,500円以上なら自宅まで送ってくれて送料なしだ。画面で探すと、著者が窓際で浅く腰掛けた表紙の本がすぐ見つかった。注文もすんなり入った。その辺でようやく余裕ができたので画面をよく見ると「この本を注文した人はこんな本も買っています。」と書いてある。
どっかで見たデザインだなと思ったら、昨年大部長が吹聴に吹聴を重ねた「ネクストソサイエティ」の赤と白の表紙だった。おまけに、最近ようやくイデイかデイかで決着(個人的に)のついたソニー会長出井伸之の「非連続の時代」まで載っている。ひと言でいえば、大部長が読んだ本はすべて、アマゾン様のお見通しだったということだ。これ以上驚くことがあるとすれば、ネットであるHPを開いたとたん、「このページを見た者は一週間以内に死ぬ」と書いてあることくらいしか思い浮かばない。サダコ〜、助けてくれ!
ただ単純に購買統計を羅列しただけかもしれないし、あるいは編集者がこの本を買う人はこんな本も読むかなと考えているのかもしれない(間違っていたらゴメンなさい)。たとえば、映画「新妻の冒険」を観た人は「団地妻の冒険」を見る確立は高いし、場合によっては「混浴妻の冒険」も観てくれるかもしれない。
いずれにせよ、入念に選んだつもりだったはずが、コンピュータごときに読書傾向をあっさり見透かされ、大部長は大いに面目を失した週であった。おかげで、金曜日から風邪を悪化させ、快晴の週末に寒い寒いと言いながら、一日中布団の中で過ごすことになった。
ちなみに、英語版は12ページまで読んだ。120ページではない。こうして日記に公開した以上は読み進むことになるだろうが(すでに邦訳版を持っている)、ある昼休みに突然「ガースナーってE-mailで社員に向けてこう語っているんだよね」などと英文を引用しても友達を失わないだろうか。まあ、引用するためには覚えなければならないから、それだけでも偉いか。
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