ミドルエイジのビジネスマン
DiaryINDEX|past|will
| 2002年12月08日(日) |
境港は日本有数の漁港 |
境港は日本有数の漁港として有名だ。先日、山陰方面への出張の折り、お話を聞く機会があった。たまたま、今年は鰯が不漁だという話題からこの地方のお話に話題が広がった。境港の目と鼻の先の対岸、大きな橋の向こう側は島根半島が横に広がっている。こちら側が鳥取県、対岸が島根県という訳だ。飛行機が下りるときに島根半島の先端に灯台が見えて、美しい景色にうっとりとした。地蔵崎というらしい。
その島根半島の日本海側は、かつて交通の便も良くなかったが、橋が架かり、半島の山を横断するトンネルもできたので、境港に通勤することができるようになったそうだ。
話をしてくれた方は、この辺には九州出身の人も多いですと語った。昔、九州から漁業に従事するために来た人がそのまま結婚して居着いたのだという。宇和島の人も多いですと言う。宇和島(愛媛県のことだと思うが)では狭い耕地にしがみついているので、次男、三男は他所に移るしかなくて、ここでシラスの加工など過酷な労働に従事したのだと、宇和島の人が聞いたら怒りそうなこともおっしゃる。境港は漁業を主力産業として、それほど人々を引きつける魅力があったという郷土自慢かもしれない。山陰というと人々がひっそりと暮らしているというイメージだったので、ダイナミックな人口移動の話を聞いて感心した。
ところが、ここ数年漁獲高が減り続け水産加工業も大変だという。人々は最初、5年周期とか、12年周期とか言って魚が来るのを待っていたが、やがて諦めてしまったそうだ。なにやら、今の日本経済のことのようだと思った。私たちも、魚種の交代論など素人談義をしたのだが、お話をして下さった方は鯨が大量に魚を食べてしまうのが原因だから、鯨獲りをすべきだというのが持論だった。
出張から帰って数日後、秋田のハタハタ漁が最盛期を迎えているというニュースに接した。ハタハタも一時は漁獲高が激減したのだが、歯を食いしばって90年代に3年間禁漁にしたことが功を奏して、今年は30年振りの豊漁だという。見えない海の中のことなので、きっと当時も、「周期的に多分来年は豊漁だよ」とか「禁漁まですることはないんじゃない」とか「他県や外国船が出し抜いたらどうしてくれるんだ」などと様々の議論があったに違いない。なぜ、3年にも亘る禁漁を、しかも有効に実現することができたのか、これは是非NHKの「プロジェクトX」で取り上げてもらいたいものだ。
| 2002年12月01日(日) |
いいとこ取りはできない |
11月中旬に同級生と久しぶりの再会を果たし、フワフワ気分でいたところ、その友人たちから中学3年生で同じクラスだった女性が亡くなったとの訃報をメールでもらった。ボーイッシュな魅力を放つ彼女は、強豪女子バスケットボール部の主力選手だった。病気とは縁遠いイメージの存在だったが。
たまたま休暇を取ったり、出張に出たりしたため、メールを読むタイミングを外し、同級生一同として花輪を捧げようという話にも乗ることができなかった。
ある者はクラス代表として葬儀に参列し、ある者は花輪の手配をする。こちらは一方的に旧友との絆を取り戻したような気になっていても、いざとなったら連絡もつかないでは、バーチャル関係もいいところだと打ちのめされている。
若いときには、自分の頭の上のハエを追うのに夢中で、旧友の消息を聞いても膜を一枚隔てているような感じがして、結局のところ現実感を伴っていなかったのではなかろうか。友人たちより若干遅れて自分も家庭を持ち、子供を育てるようになって、ようやく、一人ひとりの人生に共感を覚えるようになってきているのだと思う。
彼女がプレーをしているときのキビキビした身のこなしや、笑っている顔や、ショートヘアの髪型や全体の雰囲気を思い出す。葬儀には何もできず申し訳ないが、こちらが彼女のことを思えば、その人も天から笑顔を返してくれるような気がする。
| 2002年11月24日(日) |
鉄の斧です、ご褒美を |
何ヶ月か前に、札幌のスーパーで外国産牛肉を国産と偽って売ったことが判明したため、牛肉を買ったと申し出た人に無条件で返金するとアナウンスしたら、群衆が押し掛けて大混乱したというニュースがあった。牛肉の総売上げより返金の方が多くなってしまったというから笑い話だ。
こんなことを思い出したのは、先日、同僚二人と仕事に出掛けたとき、品川駅で会社員らしいお兄さんの後ろに並んでJRのカード「スイカ」に入金しようと思ったら、販売機からお札が出てくるという事件があったからだ。お兄さんに忘れ物ですと声をかけると、自分のものではないとおっしゃる。一瞬考えて、それでは半分こ、でも私が発見者だからちょっと多くね、などとセコい分配を申し出たら、要りませんとあっさり断られてしまった。シュン。
同僚たちは何でそんなに時間がかかるんだと遠くからいぶかしそうに眺めている。私が半分、君たちは半分の半分ずつね、などともみ手をする自分の姿も頭をよぎったが、日頃、企業の姿勢はどうあるべきかなどと論じている同僚に軽蔑されるのもナニなので、泣く泣く駅に届け出た。
こちらも社会に出てから幾星霜、あのお札が正当な所有者に戻るとは万に一つも思えない。後ろ髪を引かれながら会社に戻ることになった。
もし、その気になった人がいたら、日時、販売機の特定は当然のこととして、紙幣の券種、枚数、折り目の数などを正しく申告すれば貰えるのではなかろうか。さて、その情報を半額で提供・・・ウウッ、どこまでセコいんだこの私は。
しかし、あのお札がお釣りとして出てきたのだとすると、取り忘れた正当な所有者は現物を見ていないだろうから紙幣の特徴を説明することもできない。品川駅の駅員さんは、日時、場所、金額だけの申告で返金するのだろうか。
ちなみに、札幌の騒ぎの件で最も罪作りなのは某スーパーだ。平身低頭、一見、もっともらしい善良さをまとったように見えるが、人様の良心を試したりしてはいけない。人の心はかくも弱いのだ。ましてや相手はお客様なのだから。
ところで女神様、色々葛藤はありましたが結局届け出たのですから、何かいいことの一つくらいはないものでしょうか。
来週以降、私の身に起こる、どんな小さな幸運も見逃さないこととしよう。
|