天ぷら。 - 2003年11月26日(水) 月曜日、我が家の夕食は野菜の天ぷらであった。 もちろん私が揚げたのではない。 旦那である。 数日前に「お〜い、天ぷらの衣ってどうやって作るの?」と彼に聞かれ、 「市販の天ぷら粉を水に溶く!」と答えた私に 到底、天ぷらを揚げる資格などない。 そう、私はこの30云年の人生の中で、 天ぷらを一度しか揚げたことのない女。 その記念すべき第一作は、思い起こせば約15年前、 付き合っていた彼氏の「天ぷら食いたい」という リクエストに挑んだものであった。 しかし私は当時、天ぷらを揚げるにはあまりにも若かった。 作り方などぜんぜん知らなかった。 そのため、藁にもすがる思いで母親に 電話をしたのだったのだが、 「ね、ねえ、ねえ、こ、衣ってどうやって作るの?」 と一刻も早く、、と焦る娘に、”すがった藁”の答えは 「う〜ん、、良く知らない」であり、 そ、そんな〜、、としつこく突っ込むと 「ばっかじゃ〜ん。そんなの天ぷら粉買って揚げなさいよ!」。 その上、「私はそうしている!」と”藁”は何故か自身満々。 結局その時私に分かったのは、結構美味しいと思っていた 母の手作り天ぷらが「天ぷら粉」によってお手軽にできていた、 という事実だけであった。 それ以来、天ぷらは揚げてはいない。 あの時の母のアドバイスがどうしても手抜きのような気がして、 彼に申し訳ないような気がして、小麦粉を適当に 水で溶いた衣で揚げたら・・・まずくてまずくて・・ それがトラウマになっているのである。 で、旦那の揚げた天ぷらはどうだったかというと、 これが結構美味しかった。 シメジ、ナス、かぼちゃ、さつまいも、アスパラ。 どれもみ〜んな上手に揚がっていた。 天ぷら粉使用だったけどやはり揚げたては旨い。 小さな自信を得たのか、 「今度は粉に頼らないで作りたいな〜」と言う旦那に 実は天ぷらが大好きな私は思うのだった。 こりゃいい! 次は野菜だけじゃなく、イカと海老もお願い!と。 おしまい。 ... マイホーム。。 - 2003年11月25日(火) 私よりず〜っと早くに結婚した友人M美が、 この度、晴れて家を買うことになり、来年の完成を 待たずして、一足お先に犬まで飼っちゃったと言うので、 犬へのご挨拶方々、久しぶりに彼女の家に遊びに行った。 私は建築士ではないので、良くはわからないが、 コーヒーをごちそうになりながら、見せられた新居の図面は、 小ぶりな家ながら、モダンでステキなもののように感じられた。 う〜む、、とても羨ましい。 なんたって犬が飼える、というところがいい。 家に帰り、早速旦那に報告すると、自然と「そろそろうちも・・」という 話になった。 だが、うちには必要な「頭金」というものがない。 今日日、この世の中は不確で曖昧なことばかりだが、 唯一つハッキリしていることがあるとすれば、 「我が家には頭金に当てられる蓄えがない」ということだろう。 その時の私達の会話はもちろん「無理」が前提にあり、よもや話程度の ものであったのだが、「そのうち」という気持ちは捨てられず、 入っていた新聞の物件広告などを引っ張り出して、相場を確かめると ここら辺なら、3LDKほどで約4000万ちょっとであった。 「う〜ん、、高いよね〜〜」 と広告を見ながら嘆く私の力ない声に 「そりゃそ〜だろ〜〜」と相槌を打つ旦那。 語り合うといっても、結局はそのセリフを 繰り返すだけなのが・・悲しい。 で、数分後、 一連の繰り返しもいい加減に飽きた、という頃、 ふと旦那の方を見ると、ちゃんと会話に参加してくれている、と思っていた 彼の手には家の広告ではない、花の写真がいっぱい載っている、 植木鉢とかプランターのDIYのチラシ。 どうやら彼の頭の中は・・「家」といえば、「庭!」という過程を経て、 すっかりガーデニングに興味が行っているようだった。 真剣に目を通すその様子を見ながら私は 「頭金がない」ということより、 「彼と家を持つ」ということ自体が・・こりゃ大変・・と思わずには いられないのであった。 おしまい。 ... 試練 - 2003年11月24日(月) 私のバイト先に良くチャットをしにくるA君は、 私が勤める前から通ってくれている常連さんで、 17歳のかなりオタクな高校3年生だ。 規則破りの常習犯だった彼は、昔からスタッフの間では すこぶる評判が悪かった。 例えば、 禁止されているフロッピーを持ち込む。 アダルトサイトを見る。 デスクトップ上に自分のフォルダーを作り、その中に H系アニメの画像を180枚もプールしたりする。 持参したCDROMを使用し、パソコンをフリーズさせた・・などなど。 当然、このバイトに就いて、早一年が経とうとしている私も、 歴代の先輩方が残していった日誌などを読み、さらに、 こっちが声をかけても挨拶しないその態度に 「子供の分際で、私に挨拶なしとは30年早い!」と 怒りを込めつつ、彼のことを要注意人物として見ていたのだった。 ところが、「絶対こんにちは・・って口を割らせてやる」 と半ば意地になって続けた私の「挨拶運動」が 功を奏したのか、バイトを始めて4ヶ月たったあたりから 彼が次第に口を開くようになり、私と世間話をポツポツするようになった。 そして、半年断った頃、何故か私に家庭の事情まで 話してくれるようになったのである。 チャットの画面に向かって薄笑いを浮かべる彼。 自分の世界に閉じこもるその様子には、 「何かあるのでは・・?」とは思っていたのだが、 聞けば彼は彼なりに辛い思いもし、 世の中に、無責任な大人に、一人で挑んでいるといった感じであった。 で、そんなことがあってからは、彼も徐々に悪さをしなくなり、 少なくとも、何か問題がありそうな場合は、 事前に私に確認を取ってくれたりして、 最近ではすっかり良いお客さんとなった。 しかし今、私はまた彼に新たな問題を感ぜずにはいられない。 それは・・ なんたって臭い。 まるで3ヶ月は風呂に入っていない、といったような、 どちらかと言えば、ホームレスの方々のように臭い。 臭いは2メートル四方に確実に及んでいて、 私はいつ他の客から、苦情が来るかヒヤヒヤだ。 彼に対しては、やんわりと注意を重ねてきた私も、 さすがに 「臭いんだけど」とか 「どのくらいの周期で風呂に入るの?」とか 「体洗ってから来て」とかは、言えない。 今まで「いや〜、このバイト楽だ〜」と言い続けては、 日記を書いたり、頭に意味もなく持参したお茶のペットボトルを 乗せて遊んでいた私だが・・ サービス業に従事する者として・・ 遅まきながら最大の試練を迎えようとしている。 おしまい。 ...
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