台所のすみっちょ...風子

 

 

納得。 - 2003年08月02日(土)

化粧品屋のカウンターに座って、

「最近シミが目立つので、コーンシーラー見せてもらおうと思って・・」

と言ってみたら、

「じゃあ、お試しになりますか〜」

と店員が肌色の口紅みたいなスティックのふたをスポッと取り、

「行きますよ〜」の前フリもなく、

「ホイッ!」みたいな勢いで、

唐突にそのスティックを目の際に当てようとしたので、

思わず目を閉じたら、

「敏感ですね。もしかして目薬さすの、苦手でしょう?」と言われ、

そうですね・・と答えた私に、

「私は目の前に何が来てもぜんぜん平気なんですよ〜」

と言った後、何故か「こうやって〜、あっちの方見て〜」と

目薬指南までするその店員は、

「矢でも鉄砲でも持って来い」という言葉がピッタリな、

デ〜ンと肝も座っていれば、体も・・といった感じの・・


そう・・


かなりの巨漢であった。



なんか納得。


おしまい。


...

そうだったのね〜ん。。。 - 2003年08月01日(金)

台所の蛇口。どこがどーいうふうにおかしくなったのかというと、

継ぎ目のところ。

水が漏れるのである。夜、水をふき取っても、

翌朝にはもうおねしょをしたかのように、漏れ出した水がジワリと滴り、

蛇口の根元に溜まっている。


で、修理のオヤジはやってきた。

昨日、向こうの都合でドタキャンしたのだから、今日は

ちゃんと時間を守ってやって来ると思っていた。

甘かった。

オヤジの来たのは、約束の9時より40分も早い朝の8時20分。

技術者とはいえ、客商売でもある。その自己中ぶりは如何なものか?


とにかく眠かったのだった。

ふらふらと顔も洗わない状態でオヤジを招き入れた。

背の低い、頑固そうな、四角い顔をした、ひと言で言うと

小皿のようなオヤジを。


修理が始まった。

オヤジは玄関に工具一式を置き、必要に応じてその都度

道具やら部品を取りに行ってるようで、パソコンの前に座っている

私の後ろを何度も通り過ぎる。

時折「直りそうですか?」と声をかけるのだが、

「それはわからねぇ〜な」とオヤジの態度は実に素っ気ない。


このマンションは都が管理している。

修理修繕は、都の事務所に連絡すると、都が業者の手配をしてくれるのである。

普段であれば、ガチャガチャやってる脇にピタリとくっついて、

修理とはなんら関係のない業者の家族構成など聞き出し、

「へえ〜、お子さんかわいい盛りですね」とか

「あ〜、じゃあ奥さんは幸せだぁ〜」とか、楽しく仕事をしていただくため、

最善を尽くしてその場を盛り上げる私だが、

今日はちっともそんな気になれない。それどころか、

「この態度、都にチクってやる」

とまで思うのだった。


20分ほどがたがたして、台所方でオヤジの手が止まった気配がし、

声がした。

「まあ、なんとか直りました」

その声に呼ばれて台所に行った私にオヤジは言う。

「あんまり使ってないと、新しくてもこうなっちゃうんだよね〜」と。

私は水道屋ではないので、

いまいち分かったような、分からないような・・なのだが、

説明によると、使う回数が少ないため、いつの間にか中にある

パッキンが硬くコチコチになり、なめらかに滑らないようになって

水が漏れ出すらしい。

う〜ん、、良く分かんない・・。


とにかく、築3年で蛇口が水漏れをしてしまうのは、

野菜を洗ったりなどの行為が少ないということであり、

食器を洗う行為も少ないということであり、

要は私の台所を利用する頻度が少ないということが原因。

オヤジはそう言ってるのである。


そうだったのね〜〜ん。



自分の主婦としての日常に原因があると分かり、

なんだか妙に可笑しい。

もはや、オヤジのぶっきらぼうな態度はどうでもよかった。

それどころか、心なしかオヤジがいとおしい。

オヤジは普段の私の家事態度で起きた問題の

尻拭いをしてくれたということになる。


ありがとう・・オヤジ。



工具を持って靴を履く彼を、最後は笑顔で見送ったのだった。





おしまい。


...

ついうっかりと。 - 2003年07月31日(木)

午前中、私は男を待っていた。

朝が苦手な私が、旦那と一緒に起きてまで男を待ったのだ。

最近、台所の蛇口の調子がおかしい。

そう男とは、水道屋である。


約束は9時半であった。

私は待った。

途中、腹が減った。

焼きそばパン食った。

が、男は来ない。

私は待った。

時計の針が11時を刺すころピンポーンとインターホンが鳴った。

出た。


N○Kの受信料の集金だった。

それがそうだと分かった瞬間、なんだかしどろもどろになり、

私はまるでついに見つかってしまった指名手配犯そのものであった。

集金人の声が心なしか弾んでいる。

「み〜つけた!」とでもいいたげであった。

「どーしてテレビがあるというだけで、子会社作って儲けている

N○Kを私達のように細々と生活している者が支えなければいけないのか?」

という私のもっともな言い分も、もはや通用しない。

滞納していた受信料5600円を払うハメになった。


1時間後、電話がなった。

待ちに待った水道屋のオヤジだった。

「いや〜〜、、うちのものが勝手に約束しちゃったみたいで〜。
 今日行けないから明日にしてくんない?」

オヤジが開口一番ダミ声で言う。

「明日って、、あ、明日ですかぁ〜?」

思わず声が上ずる。2日続けて朝は起きられない。


オヤジは「今日は忙しい」とか「手元に必要な部品が足りないから」とか、

それはそっちの勝手な都合でしょ!というようなことを言い、なんとか

明日にしてもらえるように粘り続けるのであった。

結局そうした。



カチャリ・・・

受話器を置いた。

私の視界には、さっき払ってしまった受信料の領収書。


オヤジさえ、約束の時間に来てくれれば・・・

あの時・・・インターホンには出なかった・・

となりゃあ・・居留守でバックレもできたのに・・と、

テーブルにふてぶてしく横たわるその1枚を、

しばしボーっと見つめる私なのだった。


おしまい。


...




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